研究課題
液性免疫を制御する濾胞ヘルパー T (Tfh) 細胞の異常が免疫・アレルギー疾患の発症に関与していると考えられ、Tfh 細胞サブセットの不均衡が免疫疾患の病態形成の原因となっていることが推察される。IgG4関連疾患(IgG4RD)とアレルギー性鼻炎について報告する1.IgG4-DS の組織中には活性化マーカー強陽性の Tfh 細胞が多く浸潤していた。顎下腺組織に浸潤している Tfh 細胞は口蓋扁桃由来の Tfh 細胞と比較してBCL6 が高発現しており、B 細胞からの IgG4 産生をより強く誘導する能力を持っていた。さらに、IgG4-DS 患者の血液中では健常者と比較して PD-1 強陽性の Tfh 細胞の割合と数が多いことを発見し、その割合は臨床パラメータ と相関を認めた。これらの結果から IgG4-RD の病変部位にはリンパ組織や血液中に存在する Tfh 細胞と性質の異なる特殊な Tfh 細胞が浸潤し、局所での IgG4 産生を制御している可能性が考えられた。また、血液中の PD-1 強陽性の Tfh 細胞の割合は IgG4-DS の病勢を反映するバイオマーカーとなる可能性が示唆された。2.アレルギー性鼻炎患者では Tfh 細胞サブセットの 2 型濾胞ヘルパー T ( Tfh2) 細胞の割合が増加していた。さらに Tfh2 細胞の割合 (%Tfh2) と Breg 細胞の割合 (%Breg) の比 (%Tfh2/%Breg) は末梢血好酸球の割合と呼気一酸化窒素濃度と有意な正の相関を認めた。今回の結果から、アレルギー性鼻炎患者の末梢血中での Tfh2 細胞への偏倚と Breg 細胞の相対的な減少という2つのダイナミックな免疫学的変化が、アレルギーが重症化する背景に存在すると考えられた。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 1件)
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