研究課題/領域番号 |
16K15732
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
吉村 長久 京都大学, 医学研究科, その他 (70211662)
|
研究分担者 |
小池 薫 京都大学, 医学研究科, 教授 (10267164)
平川 慶子 日本医科大学, 医学部, 助教 (30165162)
佐藤 格夫 京都大学, 医学研究科, 准教授 (30409205)
赤木 忠道 京都大学, 医学研究科, 特定助教 (30580112)
中西 秀雄 京都大学, 医学研究科, 助教 (80724278)
池田 華子 京都大学, 医学研究科, 准教授 (20372162)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 核磁気共鳴法 / パターン認識 / 緑内障 / 血清 |
研究実績の概要 |
緑内障の発症・進行リスク因子の代表は高眼圧であるが、日本人における疫学調査では、眼圧が正常範囲であるにもかかわらず緑内障になっている「正常眼圧緑内障」の患者が過半数を占めていることが明らかになり、眼圧のみで診断後の緑内障進行速度や日常視機能への影響が生じる時期を予測することは困難である。また、代表的な緑内障手術である線維柱帯切除術は、術後中長期的に手術部位の瘢痕化のために手術不成功に至る症例が少なくないが、手術前に術後経過を予測することは困難である。生体試料を核磁気共鳴(Nuclear Magnetic Resonance: NMR)計測し、ケモメトリクスによるデータ解析を行う方法は、生体試料に含まれる豊富な情報を活用して、個々の試料を識別することを可能にする。 平成28年度は、前房水・血清試料を採取した開放隅角緑内障患者の臨床データ収集を行い、中心視野障害が比較的早期から生じている患者と、末期でも中心視野が保たれている患者を、NMR計測値で識別できるかを検討する目的で、検討に用いるサンプルの選定を完了した。併せてケモメトリクスに適したNMR計測値の取得および信号処理手法のプログラムを改良した。平成29年度早期に、約20検体のNMR計測を行い、今回改良した信号処理およびデータ解析手法を用いた検討を進める予定である。 並行して、手術前に前房水・血清試料を採取してかつ線維柱帯切除術を施行された解放隅角緑内障患者について、術後経過の臨床データ収集を行っている。今後、術後経過良好例と不良例の鑑別がNMR計測値で識別できるかを検討する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度内に予定していた、解放隅角緑内障患者からのサンプル採取および臨床データ収集は、概ね予定通り進んでいる。前房水・血清試料を用いたNMR計測・解析についても、従来の信号処理およびデータ解析手法の改良を終えて実際の試料計測・解析にむけての準備が完了し、概ね予定通り進んでいる。
|
今後の研究の推進方策 |
平成28年度に行ったNMR計測データの信号処理・解析手法の改良に基づく最新の解析手法を用いることで、中心視野障害が比較的早期から生じている開放隅角緑内障患者と末期でも中心視野が保たれている開放隅角緑内障患者を、NMR計測値で識別できるか検討する。また、線維柱帯切除術前の前房水・血清から取得したNMR計測値によって、手術予後が予測できるかどうか検討を行う予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度は、NMR計測データ信号処理・解析手法の改良を主に行い、それを用いて年度内にサンプルNMR計測まで行う予定であった。臨床情報の収集・実験用サンプル収集および選定も平成28年度内で完了したが、NMR計測は平成29年度初めに行うこととなったので、計測に用いる物品費や人件費などを、平成29年度へ繰り越すこととなった。
|
次年度使用額の使用計画 |
繰り越した次年度使用額を使用して、NMR計測のための実験消耗品購入・実験に携わる人員への人件費支払いを行い、平成28年度に行う予定であったNMR計測を平成29年度早期に行う予定である。以後は当初の計画に従い、平成28年度に改良した解析手法を用いて、結果の解析に進む予定である。
|