研究課題/領域番号 |
16K15734
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
吉田 茂生 九州大学, 医学研究院, 准教授 (50363370)
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研究分担者 |
園田 康平 九州大学, 医学研究院, 教授 (10294943)
池田 康博 九州大学, 医学研究院, 准教授 (20380389)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | アンチセンス / ペリオスチン |
研究実績の概要 |
1.マトリセルラー蛋白(ペリオスチン)標的アンチセンスの候補配列決定 ヒト全長ペリオスチン mRNAから作成可能な20merのアンチセンス標的配列を各々全パターン作成し、データベース化した。このデータベースから、in Silicoスクリーニングにより実際に用いるアンチセンス配列を選択した。まず、非ヒト霊長類マカクザル2種とマウス間で種間交差性のある配列を選別した。次に、他の遺伝子とのホモロジーがあるもの、Toll-like receptor のリガンドとなり免疫系を賦活化するCpG配列を含むもの、アンチセンス分子自身が高次構造をとる配列を除外し、候補となるギャップマー型アンチセンスの候補配列決定を決定し、合成した。 2.マトリセルラー蛋白(ペリオスチン)アンチセンスのin Vitro機能評価 次に、培養ヒトRPEを用いて、TGFβ2刺激による増殖能、接着能、遊走能、収縮活性の亢進に対するペリオスチンアンチセンスの抑制効果を検討した。次に、培養ヒト網膜血管内皮細胞(HREC)を用いて、VEGF 刺激による増殖能、遊走能、管腔形成能の亢進に対する、 アンチセンスの抑制効果について検討を行った。管腔形成に関してはマトリゲル上にHRECを培養し、 アンチセンスとコントロールのスクランブルで処理後、VEGFで刺激し、管腔形成の面積を画像処理、両群で比較した。ヒト網膜血管内皮細胞ではアンチセンス投与での抑制効果は現在までのところ確認できていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
in Silicoスクリーニングにより実際に用いるアンチセンス配列を選択できた。非ヒト霊長類マカクザル2種とマウス間で種間交差性のある配列を選別できた。次に、他の遺伝子とのホモロジーがあるもの、Toll-like receptor のリガンドとなり免疫系を賦活化するCpG配列を含むもの、アンチセンス分子自身が高次構造をとる配列を除外し、候補となるギャップマー型アンチセンスの候補配列決定を決定し、合成できた。 培養ヒトRPE細胞においては最適化ペリオスチンアンチセンスが、TGFβ2刺激による増殖能、接着能、遊走能に対する抑制傾向を示すことを確認できた。
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今後の研究の推進方策 |
最適化を行ったペリオスチンアンチセンスの薬効を、既に確立しているマウス網膜血管新生モデル(OIR)・脈絡膜血管新生モデル(CNV)にて評価する。 マウス網膜血管新生モデルとして、頻用している再現性の高いマウス酸素負荷網膜血管新生モデルを用いる。高酸素負荷直後に最適化ペリオスチンアンチセンスを経口投与する。至適濃度は臨床現場で使用されているアンチセンス医薬の添加量を参考に決定する。血管新生誘導後5日にフラットマウントを作成して血管新生抑制効果を定量化する。対照としてスクランブル配列核酸のみの投与も行い、その影響を検証する。その後眼球摘出し、ペリオスチンアンチセンスの残存量を定量すると同時に組織学的、電気生理学的にも安全性を評価する。 次に、マウスにレーザーを照射し、脈絡膜新生血管を誘導する。同時に、ペリオスチンアンチセンスを硝子体注射する。注射後7、24日目にフラットマウントを作成し、血管新生および線維化抑制度を評価し、治療効果を判定する。同時に前房水を採取し、ペリオスチンアンチセンスの眼内での濃度を測定する。術後7、24日目に上記マウスモデルと同様に安全性を評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
ペリオスチンアンチセンスの合成、in vitroの効果に加えて、in vivoでの効果を行える場合は行う予定であったが、当該年度には行わなかった。その結果動物実験費用を次年度に繰り越すことにした。
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次年度使用額の使用計画 |
網膜血管新生モデルや脈絡膜血管新生モデルにおけるペリオスチンアンチセンスの動態と増殖抑制効果、安全性の検証を予定どおり行うため、動物購入・飼育費用と組織学的解析費用に充てる。
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