研究課題
霊長類医科学研究センターにおいてカニクイザルARDSモデルを用いて実験を行い、同施設と筑波大学において分析、データ解析を行った。術後SIRSとそれに続くARDSの発症予防手段の確立を目指すべく、薬理学的制御の手法により群分けした。具体的には、トロンボモジュリンにより、手術が惹起する主要凝固系路である外因系凝固の抑制を図り、凝固・線溶の亢進からSIRSへと進展する過程の初期段階を制御する。加えて、SIRSおよび肺障害発生のkey-factorである白血球の活性化と肺への集積について骨髄由来白血球の動態に焦点を当て、CCL23(recombinant human CCL23)による骨髄刺激抑制効果とトロンボモジュリンの好中球活性化抑制作用をin vivoで検証、血液学的、組織学的、および画像的に解析する事を目標としている。本年度も昨年度に引き続き、、CCL23を術前に静注し、骨髄の細胞分裂過程を制御して骨髄刺激に対する白血球前駆細胞の保護作用を応用し骨髄由来活性化白血球を制御する群、3頭を追加で実施した。研究資金に関係でトロンボモジュリン群に割り当てる予定の頭数は得られなかったが、実験プロトコールは順調に遂行され、先行研究からの追加解析を含め、第71回日本胸部外科学会定期学術集会(品川)で発表を行い、現在CCL23投与群に関する内容を論文投稿の準備中である。また、定常時のカニクイザル骨髄由来白血球の体内動態を対象とした、カニクイザル体外循環モデルを用いて、PDE IV阻害薬群+エラスターゼ阻害薬投与群によって、体外循環刺激による骨髄から循環血中への促進的放出、および、これら標識白血球の肺への動員・集積が有意に抑制されることを示した先行研究の内容を論文発表した。
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Journal of Artificial Organs
巻: 22 ページ: 44~52
10.1007/s10047-018-1071-0