研究分担者 |
田島 吾郎 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (00437427)
山野 修平 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (60570538)
梅原 敬弘 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 助教 (60617421)
池松 和哉 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (80332857)
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研究実績の概要 |
急性期病態における全身性炎症反応は、Damage Associated Molecular Patterns(DAMPs)を自然免疫系が認識することにより惹起される。今年度は、組織損傷と感染による炎症の自然免疫受容体とシグナル分子の遺伝子発現パターンを判別分析で比較検討した。組織損傷モデルとしては広範囲熱傷モデル(20%III度熱傷)(Burn)、敗血症モデルとしては盲腸結紮穿刺モデル(CLP)を使用した。 C57BL/6マウスを用い、Sham、CLP、Burnの3群で、受傷3, 6, 12, 24時間後(各n=12)に全血よりtotal RNAを抽出した。定量RT-PCRで自然免疫受容体(TLR2, TLR4, TLR9, NLRP3, RIG-I)とシグナル分子(MyD88, TRIF, IRF-3, IRF-7, Caspase-1)の遺伝子発現を測定し判別分析で発現パターンを比較した。 TLR2, TLR4, NLRP3, MyD88の発現はCLP, Burnにおいて3時間後から有意に上昇した(p<0.05)。CLPにおいてTLR9は12, 24時間後でSham, Burnより有意に低下(p<0.05)、IRF-7は有意に上昇した(p<0.05)。3時間後から各群で特徴的な遺伝子発現パターンを示し、判別分析では3時間後で判別過誤率6.06%、6時間後からは0%で各病態を判別できた。受傷早期から感染、組織損傷とも病態特異的な自然免疫系の反応が惹起されていると考えられた。 今年度は、CLPおよびBurnにおける自然免疫受容体の発現パターンに加え、その下流のシグナル分子の遺伝子発現パターンにも特徴的変化が現れることを明らかにした。
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