研究課題/領域番号 |
16K15765
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
升田 好樹 札幌医科大学, 医学部, 准教授 (10244328)
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研究分担者 |
巽 博臣 札幌医科大学, 医学部, 講師 (70404613)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 敗血症 / 抗炎症作用 / 凝固異常 |
研究実績の概要 |
生体へ感染症などの侵襲が生じた際に危険信号として, DAMPs と呼ばれる蛋白が産生放出される.しかし,これらが過剰に産生放出された際には強い炎症を引き起こし,敗血症や敗血症性ショックへと進展する.DAMPs には様々なものが知られているが,本来核内に存在するhigh-mobility-group box-1(HMGB1)やHistone 蛋白も敗血症時には血中に出現し,その重症度とは関連することが報告されている.これらの背景から盲腸結紮穿孔(CLP)によるラット敗血症モデルを作成し,トロンボモデユリンによる抗炎症効果について検討することとした.CLPラット対照群の作成にて死亡時間をまず検討した.ハンドリングによる個体差が大きいため,当該年度内での安定した敗血症ラットを作製できるまでトロンボモデュリン(TM)投与群の作製ができなかった. ラットハンドリングの安定化が得られてきたため,今後はTM投与による敗血症ラットの生存期間がTMで延長するのか,さらにはEFG様ドメインのみを有するfTMがこれらの延長効果に拮抗するのか否かを検討する. 次に,対照群での敗血症ラットモデルでのサイトカイン,HMGB1, Histone蛋白濃度の推移を検討する.HMGB1やHistone蛋白が最も高値となる時間を確認し,その時間に合わせて,TM投与による血中濃度軽減効果の確認とfTMがこれらのHMGB1やHistone蛋白濃度を低下させない可能性について検討する. 現在は,敗血症ラットのサイトカインの経時的変化を観察し,同時に血清を保存し,今後HMGB-1, ヒストン蛋白の測定を行う準備をしている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
教室内の医療スタッフの退職のため,実験を行う十分な時間が得られなかった.本年4月より,スタッフが増員したため,実験を遂行する時間が得られるようになったため,円滑に研究を進めて行く予定である.
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今後の研究の推進方策 |
盲腸結紮穿孔(CLP)によるラット敗血症モデルを安定化させ,ラット生命予後改善効果がレクチン様ドメインを有するTMとEGF様ドメインのみを有するfTMを用いて比較する.さらに,TNF-αなどのサイトカインやHMGB1, Histone蛋白といったDAMPsの制御が可能であるか否かをCLPラットを用いて検討する.レクチン様ドメインの有無により生命予後やDAMPSの制御に影響があれば,生理活性物質であるTMの抗炎症作用と関連することが証明される.
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次年度使用額が生じた理由 |
ラット敗血症モデル作製に関わるハンドリングが安定化せずに次のステップに進めなかった.また,診療現場での人員が減少したため,十分な研究時間がとれなかった.
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次年度使用額の使用計画 |
研究時間を得ることができるようになったため,敗血症ラットモデルを用いた,TMとfTMによる生命予後の改善効果の比較を行う.次に,経時的なサイトカイン(TNF-α)とHMGB1,Histone蛋白濃度を測定し,その推移を観察する.TMとfTMによるこれらDAMPsの制御可能か否か濃度を測定し比較する.
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