研究課題
救急疾患の解析には、重症度と緊急度を評価することは非常に重要である。しかし、現在の救急医学研究のlarge data baseには、①多数の未測定交絡因子が存在し(重症度評価不足)、②時間的・地理的項目が測定出来ていない(緊急度の評価不足)。救急疾患の症状発生場所はランダムに出現し、救急搬送先も患者重症度・緊急度と患者発生場所・時間・気候と複数の病院との位置関係等にも依存する。そこで症状発生場所の地理空間情報を、ナビゲーションシステムを用い新たな変数作成させることで、①未測定交絡因子をも考慮した操作変数法の解析に有効利用ができ、②時間的・地理的因子を考慮した解析が可能になる。今後、地理空間情報計測システムを用いることで、救急医学研究の正しい分析が可能になり、救急疾患患者様の予後改善に結びつくことが期待される。本研究では、患者症状発生場所と消防署・搬送病院・周辺病院・周辺AED等の位置情報をとりこみ、緯度経度に変換した上で、ナビゲーションシステムを用いて患者発生場所と「異なる病院までの所要時間の差」等のパラメータを算出する新しいアプリケーションを開発した。今後、最も理想的な操作変数と考えられる、症状発生場所から「異なる病院までの所要時間の差」が、既存の操作変数と比べ、ランダム性が上昇するかの妥当性検証を、過去の申請者施設の関連病院の膨大なデータを用いて行う予定である。
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