研究課題
世界において敗血症患者は年間約800万人が亡くなっている。これは3~4秒に1人、世界のどこかで亡くなっている計算になる。今なお敗血症の罹患率は増加傾向にある(世界敗血症デー2015)。したがって、敗血症の予防と治療法の対策は非常に急務である。最近、敗血症の病態の進行に伴い、細胞の核から生命維持に必須なタンパク質が放出され本来の生命維持機能とは全く逆の生体を死へ導く分子、すなわち生体危険信号因子(例 HMGB1、ヒストンなど)が報告された。この因子の制御機構の解明は新規敗血症の治療につながる。応募者らは新規の生体危険信号因子(アラーミン)、ヌクレオフォスミン(NPM)を発見し、細胞レベルでの機能を解明した。しかしながら、個体レベルにおいてNPMの機能は未だ解明されていない。よって本研究は、アラーミンとしてのNPMを個体レベルで解決し、臨床応用へと展開するための研究基盤を確立する。昨年度よりリコンビナントNPMの単離精製を試み、そしてそれに成功した。今年度は、そのリコンビナントNPMを用いて細胞レベルでの機能を解析した。その結果、単離精製したリコンビナントNPMもサイトカイン産生能、すなわち炎症性サイトカインであるTNF-αの産生を見出した。