研究課題
平成28年度は、骨細胞・骨細管系が産生するスクレロスチン(骨芽細胞抑制), FGF23(血中リン調節), DMP-1(石灰化調節)の発現局在とミニモデリング・骨リモデリングとを比較検索した。マウス胎仔18日齢、生後1日、1,2,4,8,20週の大腿骨・脛骨の骨幹端骨梁を用いて、モデリング優位(若齢期)と骨リモデリング優位(成獣期)に分けて解析した。その結果、DMP-1はミニモデリング・骨リモデリングとは関係なく骨細胞・骨細管系に局在していた。スクレロスチン陽性骨細胞は胎生18日齢ではほとんど認められず、その後、僅かな反応が4週まで認められた。8週以降では骨細胞・骨細管に明瞭な陽性反応を観察した。一方、FGF23は生後1週まで陽性反応が認められず、4週後に多くの骨細胞がFGF23陽性反応を示した。以上から、スクレロスチンはミニモデリング時期にあまり産生されず、骨リモデリング時期に骨細胞・骨細管に検出される傾向が認められた。一方、FGF23はミニモデリング・骨リモデリングよりも離乳期以降に骨細胞に発現が顕著であることから、全身的なリン濃度などの要因でコントロールされると推測された。平成29年では、スクレロスチンがミニモデリング・骨リモデリングに良く反応する可能性から、成獣期ラットを用いて、ミニモデリングを誘導することが知られているエルデカルシトールを投与し、ミニモデリングで形成された部位とそうでない部位とでスクレロスチンの分布を観察した。その結果、骨形成が誘導されない部位ではスクレロスチンは骨表面に垂直に伸びる骨細管(骨芽細胞に通じる経路)に局在するのに対して、ミニモデリングで形成された領域の骨細胞はスクレロスチン産生を示さないことが明らかにされた。よって、骨細胞からの局所的なスクレロスチン分泌がミニモデリングの誘導に重要である可能性が示唆された。
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