赤唇はヒト特有の組織で、その再建は審美的にも重要である。しかしながら、その特殊性のため、実験動物を用いた研究は不可能である。本研究では赤唇の組織特殊性を解明するために、成人の赤唇にいかなる分子が発現しているかを検討した。赤唇部には、long noncoding RNA(lncRNA)、small nuclear RNA(snRNA)が、粘膜部よりも多く認められ、またホメオボックスを有するPAX遺伝子の発現が認められた。粘膜部に発現せず、赤唇部にのみ強く発現していた分子として、PPDPFなどが確認された。赤唇の特殊性は粘膜部とは非常に違う分子機構により制御されている可能性を示唆している。
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