研究実績の概要 |
我々は、マウス胚性幹細胞株からOsterix, Runx2, type II collagen及びDspp遺伝子発現やKeratin, Amelx遺伝子発現を誘導できる培養系を確立した。しかし、本培養系で象牙芽細胞やエナメル芽細胞が誘導されているかは明らかではない。象牙芽細胞が神経堤細胞に由来することから神経堤由来細胞を蛍光標識できるマウスから胚性幹細胞株を樹立し、神経堤由来細胞分画からDsppを発現する象牙芽細胞様細胞が確かに誘導できることを明らかにした。次にDsppの遺伝子座にGFPを挿入した象牙芽細胞をGFPで検出できる胚性幹細胞株を作成し、GFP陽性の象牙芽細胞の誘導と単離を試みた。しかし、組織学的解析及びフローサイトメトリー法にてGFP陽性細胞を同定・単離するには至っていない。検出感度をあげるために、Dsppの両遺伝子座にGFPが挿入されているDspp GFP/GFPマウスから胚性幹細胞株を作成し、GFPの検出を試みたが、GFP陽性細胞を検出するに至っていない。培養条件の改良に加え、培養したDspp GFP/GFPマウス由来の胚性幹細胞株と正常マウス歯上皮や歯間葉細胞を混合し、腎皮膜下移植にて歯胚形成におけるGFP陽性細胞の象牙芽細胞への寄与を検討している。同様に、我々は、エナメル芽細胞をTdTomatoで標識できるマウスから胚性幹細胞株を樹立した。試験官内でAmelx遺伝子は誘導できるもののTdTomato 陽性の細胞は誘導できていない。培養条件の改良に加え、Amelx TdTomato/TdTomatoマウス由来の胚性幹細胞株を培養し、正常マウス歯上皮や歯間葉細胞と混合し、腎皮膜下移植にて歯胚形成におけるAmelx陽性細胞のエナメル芽細胞への寄与を検討している。また、エナメル芽細胞と象牙芽細胞を別蛍光で同時に標識できる胚性幹細胞株の樹立を試みている。
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