研究実績の概要 |
1.「微小重力環境に対して早期に応答する遺伝子発現」我々のグループは2014年において、破骨細胞と骨芽細胞が蛍光タンパク質で標識されたメダカ(TRAP promtoer-GFP/osterix promoter-DsRed)を国際宇宙ステーションの「きぼう」日本実験棟で飼育し、8日間連続で顕微鏡を用いて観察することで両細胞の蛍光シグナルが無重力下で急速に活性化されていることを明らかにした(当代表研究者、工藤明教授)。無重力に応答する遺伝子を網羅的に解析した結果、骨関連遺伝子の他に5つの遺伝子、c-fos, jun-B-like, pai-1, ddit4, tsc22d3が発現上昇することを見出した。 2.「骨代謝におけるグルココルチコイド(GC)の機能解析」重力変化に応答する骨代謝研究にメダカをモデル動物の1つとして用いるため、メダカの破骨細胞の性質を調べる実験を行っている。破骨細胞に関連した遺伝子を欠損した複数のノックアウトメダカを解析し、哺乳類と同様の仕組みがあること、全身レベルでの破骨細胞分化様式を見出しており、さらなる発展が期待される。 3.「遠心による加重力実験」 地上の重力の5倍に相当する5G環境下でメダカを長期飼育し骨組織を詳細に調べた。その結果、ソフトX線解析から背骨が浮袋を境に湾曲し、μCT解析から頭部の三半規管である耳石形成に異常が生じていることが明らかになった。咽頭歯骨におけるTRAP promtoer-GFPのシグナルが変化したことから加重力環境下で骨吸収に異常をきたすことが予想された。
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