研究課題
本研究では、1)神経堤由来細胞の細胞表面に存在する特異的抗原を探索にあたり、2系統の 遺伝子改変マウス(P0-Cre/floxGFPマウス,Wnt1-Cre/floxGFPマウス)間に共通してGFPを広範囲に発現する唾液腺組織を選定した。2 )唾液腺組織内におけるGFP陽性細胞の局在と未分化性について組織学的に解析した。P0-Cre/floxGFPマウスにおいて、GFP陽性細胞は唾液腺組織全体にわたり島状を形成して分布した。3)2系統のマウス組織内のGFP陽性細胞と陰性細胞をセルソーターで分取して、遺伝子発現様式について、cDNAマイクロアレイによるトランスクリプトーム解析から、P0-Cre/floxGFPマウスのGFP陽性においてはephrin A2 (Eph A2)、GPR4 (G-protein coupled receptor 4)とOscar (osteoclast associated receptor)が高発現することを確認した。一方で、GFP陽性細胞は、細胞膜のプロテオグリカンであるsyndecan 2 (Sdc2)とSdc3の発現が低下していることが明らかになった。Wnt1-Cre/floxGFPマウスのGFP陽性においてCadherin 18、Eph A2 、GPR4とMusashi1が高発現することを確認した。P0-Cre/floxGFPマウスとWnt1-Cre/floxGFPマウスのGFP陽性で共に高発現したEphは細胞膜に存在し、受容体型チロシンキナーゼであるEph受容体と結合することによって細胞内にシグナルを伝達し、中枢神経系発生と発達過程において細胞増殖や細胞移動などに関与することが知られている。その他共通に高発現したGタンパク質共役型受容体であるGPR4は、脂質による活性化や細胞外pHにより活性化されるプロトン感受性受容体であることが報告されている。cDNAマイクロアレイによるトランスクリプトーム解析から、神経堤由来細胞の細胞表面に存在する特異的抗原であるEphA2あるいはGPR4陽性細胞を指標とした細胞分取法の確立が期待できる。
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