研究課題
McCune-Albright症候群(MAS)は、線維性異形成症(FD)、カフェオレ斑、思春期早熟症を主症状とする疾患で、GNAS1 exon8上のcodon 201の点変異によるGsαの恒常的活性化に起因する。MASの病変部は正常細胞および変異細胞との体細胞モザイクであることが知られており、変異細胞のみを得ることは非常に困難なので、本研究ではCRISPR / Cas9遺伝子編集技術を用いてヒト正常iPS細胞にGNAS1突然変異を導入し、MAS型ヒトiPS細胞の作製を試みた。遺伝子編集は以下の手順で行った。① 2か所のgRNA配列をCRISPR designを用いて選択した。② ①で選択したgRNAをpSpCas9n(BB) (PX460) ベクターに組み込んだ。③ ターゲティングベクターは薬剤耐性遺伝子を挟む形で5’ 側にexon7の相同領域を、3’側にはcodon 201アルギニンをヒスチジンに置換したexon 8-10を含む相同領域を設計した。④ ②および③で作製したベクターをエレクトロポレーションにより正常iPS細胞(NiPS)に導入し、薬剤選択培地で培養後、コロニーを単離した。その結果、得られたクローン24個中2個のクローンで、ゲノムDNAのGNAS1遺伝子変異を確認できた。得られたiPS細胞の未分化マーカー(REX1、NANOG、OCT3 / 4、SOX2 )および三胚葉分化マーカー(AFP、SOX17、MSX1、BRACHYURY、MAP2、PAX6 )の発現をRT-PCRを用いて確認し、MAS表現型を有する可能性を持つGNAS1変異iPS細胞の樹立に成功した。現在、ヒトFD患者病変部からのiPS細胞の樹立を行っており、今後、これらの細胞の骨芽細胞およびメラニン産生細胞へ分化誘導および解析を行う。
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