研究実績の概要 |
1) 脱アシル型ジェランガム(ケルコゲル)とネイティブ型ジェランガム(ケルコゲルLT100)を主成分として,配合割合を変えることで,3段階の破断荷重(10,20,30)および破断歪(A,B,C)を設定し,合計9種類のゼリー試料を試作した.ゼリーB10,C10は日本介護食品協議会のユニバーサルデザインフードの区分3(舌でつぶせる)に,ゼリーA10,A20,B20,C20,B30,C30はユニバーサルデザインフードの区分2(歯ぐきでつぶせる)に,ゼリーA30はユニバーサルデザインフードの区分1(容易にかめる)に相当した. 2)健常被験者の口蓋に5箇所の感圧点(Ch.1-5)を有する極薄型のセンサシートを貼付し、上記のゼリー試料を摂取する際に発生する舌圧を測定したところ、ゼリーの初期破断荷重が増加した時,口蓋正中中央部(Ch.2)において最も顕著に舌圧最大値の変化が認められた.また、ゼリーの初期破断歪が増加した時,Ch.2においてのみ舌圧最大値の減少が認められた.このことから,舌と口蓋正中中央部の接触はゼリーの初期物性に最も影響を受け,ゼリーの破砕において主要な役割を担っていることが示唆された.また,舌と口蓋正中後方部(Ch.3)において,ゼリーの初期破断荷重の増加に伴い舌圧積分値が増加したことから,初期破断荷重の大きなゼリーを押しつぶす際,その初期において,舌は口蓋正中部後方部の舌の仕事の総量を増やして対応していると考えられた. 3) 上記のゼリーのうち,A30, A10, C30, C10の4種類を用いて,押しつぶして嚥下するまでの舌骨とゼリーの動態をビデオ嚥下造影検査を用いて定量的に評価し,同時に口蓋部の舌圧を記録した.その結果,嚥下前にゼリーが咽頭に搬送されるか否かによって,舌圧の発現様相と舌骨の移動が異なることが明らかとなった.
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