研究課題/領域番号 |
16K15812
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
住田 吉慶 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 准教授 (50456654)
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研究分担者 |
朝比奈 泉 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 教授 (30221039)
各務 秀明 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (80242866)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 骨再生 / エクソソーム / 間葉系幹細胞 |
研究実績の概要 |
他家由来間葉系幹細胞の培養上清から得られる細胞外小胞(Extracellular Vesicles: EV)は低免疫原性の分子送達体として知られ、それを応用した骨再生の新規ストラテジーの開発が期待されている。本研究の目的は、骨形成性遺伝子を内包した骨誘導性EVを人工骨基質に搭載した遺伝子活性基質(GAM)を作製し、その骨誘導性を評価することにある。 3継代目のラット骨髄由来間葉系幹細胞(MSC)が30%コンフルエントになった時点で、rhBMP-2にて骨分化誘導を開始し、開始後6日目の培養上清からExoQuick®(System Bioscience)を用いて骨誘導性EVを回収した。回収したEVは、電顕による粒子確認後、表面抗原や内包RNA、miRNAの発現解析により特性を評価した。次に、PKH26で標識したEVを添加した培地にてMSCを12時間培養し、細胞へのEVの取り込みを蛍光顕微鏡およびフローサイトメーターを用いて確認した。その後、rhBMP-2に替わりEVを添加した培地でMSCを培養し、骨誘導性EVの骨分化誘導能について検討した。 回収したEVは、電顕にて平均粒径100nmの粒子であり、骨分化関連遺伝子の発現について回収時のMSCと類似した特性を有していた。ついで、培養中のMSCへのEVの取り込みが、標識したPKH26の発現解析により確認できた。また、培養中のMSCへの添加による骨誘導性EVの分化誘導能が、MSCの骨分化関連因子の発現上昇により一部確認された。そのため、現在骨誘導性EVを搭載したGAMを作製し、そのin vivoにおける骨誘導性の評価を開始したところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
MSCの骨芽細胞分化誘導中に得られるEVの機能解析は順調に進んでおり、このようなEVを搭載した基質の骨誘導性に関するin vivo実験は現在実施中であるものの、当初の計画通りに概ね進行している。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、炎症抑制や血管新生に寄与し得るEVの抽出をMSCの各誘導条件にて試みる。それらに有効なEVを得ることがでれば、骨誘導性EVとの生体への併用などを試みることで、さらに骨誘導効果の高い条件を検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度に骨誘導性EVを搭載したGAMを作製し、それを動物に移植するin vivo実験を開始したが、その途中でGAM作製に必要な凍結乾燥機が故障をし、修理中であったため、修理後に実験を再開することとした。そのため、当初予定していた動物実験用の経費を次年度使用とさせて頂いた。
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次年度使用額の使用計画 |
培養中のMSCへの添加による骨誘導性EVの分化誘導能が、MSCの骨分化関連因子の発現上昇により一部確認された。そのため、現在骨誘導性EVを搭載したGAMを作製し、そのin vivoにおける骨誘導性の評価を開始したところであるので、それを引き続き継続して実施する。
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