研究課題/領域番号 |
16K15819
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
疋田 温彦 東京大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (60443397)
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研究分担者 |
藤原 夕子 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (50466744)
西條 英人 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (80372390)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | カップリング / 骨細胞 / イメージング |
研究実績の概要 |
本研究では、骨代謝関連細胞ネットワークをin vitroで再構築し、カップリング過程を再現した培養系において、時期特異的な骨細胞除去を行い、2光子顕微鏡を用いた解析を行うことにより、骨細胞がカップリング過程において破骨細胞、骨芽細胞および基質代謝に及ぼす影響を時空間的に、細胞レベルで解明する。 平成28年度は、上記培養系において、破骨細胞を分化早期から標識可能なRANK-Cre x flox-tdTomatoマウスより採取した骨髄マクロファージを導入した。GFP発現マウス新生仔の頭蓋骨より得られた骨芽細胞を用いて、骨芽細胞分化培養を行った。4週後に、RANK-Cre x flox-tdTomatoマクロファージを加え、共存培養を行った。さらに3週間後、再び骨芽細胞分化培地に変更した。この過程において、2光子顕微鏡を用いた解析を行い、破骨細胞分化と骨破壊の進行、骨吸収窩における基質再充填を観察した。RANK-Cre x flox-tdTomatoマクロファージを用いた観察は、以前に行ったCtsk-Cre x flox-tdTomatoマクロファージを用いた場合に比べ単核破骨細胞の描出が可能であること、赤色蛍光色素DiIで標識した野生型マウス骨髄マクロファージを用いた場合に比べ、成熟破骨細胞の描出に優れていることを確認した。 次に、Dmp1-HBEGFマウス由来骨芽細胞を用いて骨細胞の特異的除去について検討した。ジフテリアトキシン(DT)投与により骨細胞を特異的に除去可能なDmp1-HBEGFマウスを理研バイオリソースより入手し、GFPマウスと掛け合わせて得られた産仔から採取した骨芽細胞を用いて分化培養を行った。DTによる骨細胞除去条件について検討し、100 ng/mL DTを加えたところ1週間後の観察において基質内の骨細胞由来と考えられる蛍光シグナルの消失が確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書において計画していた通り、RANK-Cre x flox-tdTomatoマウスより採取した骨髄マクロファージを用いた共存培養、DTによる骨細胞除去を行うことができたため。
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今後の研究の推進方策 |
モデリング、リモデリング過程における骨細胞除去:骨細胞はモデリング過程において骨芽細胞のcuboidalから扁平への形態変化を、リモデリング過程においては破骨細胞および骨芽細胞の活性を時空間的に制御していると考えられている。上記の系において、分化培養開始3週間後にDTを加え、骨細胞除去により、基質形成過程に見られる骨芽細胞の形態変化への影響を定量的に評価する。また、共存培養開始後のいずれかの時点にDTを加え、時期毎の骨細胞除去が破骨細胞形成、基質破壊、骨芽細胞の動員、活性化、基質の再充填に与える影響を定量的に評価する。 各時点における骨細胞の遺伝子発現解析:共存培養の各時点において細胞を回収し、Cell sorterを用いて緑色蛍光を発する骨芽細胞・骨細胞を分取する。骨細胞よりmRNAを抽出し、マイクロアレイ解析あるいはreal time RT-PCRによる解析を行う。この結果に関しては、RANKL、osteoprotegerin、sclerostin、semaphorinなどの破骨細胞、骨芽細胞および両者への影響が既知の分子の変動を観察すると共に、大きく変動している骨代謝への関連が未知の分子にも注目する。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた、破骨細胞を分化早期から標識可能なRANK-Cre x flox-tdTomatoマウスより採取した骨髄マクロファージの導入、Dmp1-HBEGFマウス由来骨芽細胞を利用したジフテリアトキシン(DT)投与による骨細胞の特異的除去がいずれも予想より順調に推移し、一部次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額分は、マイクロアレイ解析あるいはreal time RT-PCRによる解析に使用する。
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