研究実績の概要 |
歯科診療においてインプラント埋入手術や智歯の抜歯時などの口腔顎顔面再建外科時に下歯槽神経や舌神経を損傷するケースが見られるが、その際に出現するComplex regional pain syndromeによる痛みやアロデニア再生痛に関してはこれまで有効な治療法がなかった。本研究では、これまで当研究室で開発され良好な成績を上げてきた人工神経管(PGA-C Tube)と宿主より採取した骨髄由来単核球を併用することにより、神経再生の速度を加速し、疼痛の緩和や感覚の回復といった効果を飛躍的に向上させることを目的とし実験を行った。口腔顎顔面再建外科学の中で、顎、顔面領域の運動及び知覚を司る三叉神経はこれまで再生が困難とされてきた。これに対し、我々は新たに開発した合成高分子+コラーゲン複合材料(PGA-C チューブ:人工神経管)とin situ Tissue Engineeringの手法を用いて、下顎智歯抜歯時や歯科用インプラント埋入時の三叉神経損傷が原因で起きていた神経因性疼痛(特に難治性疼痛―いわゆるCRPS)に対し良好な回復が得られることを報告してきた(Seo K, Periph Nerve 26:2015)。これらの実績に基づき、新たに再生力を促進させる可能性を秘めた自己骨髄由来単核球を併用することにより、より早く、より緻密に運動、知覚神経や混合性神経を再生させ、早期の治癒を目指す研究を行い良好な成績を得た。
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