研究課題/領域番号 |
16K15824
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
中城 公一 愛媛大学, 医学系研究科, 准教授 (90314880)
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研究分担者 |
浜川 裕之 愛媛大学, 医学系研究科, 教授 (20127905)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 悪性口腔腫瘍 / 腫瘍遺伝子変異 / 分子標的治療 |
研究実績の概要 |
口腔扁平上皮癌には根治切除が行えたにもかかわらず局所再発あるいは転移を来たし、さらには放射線や化学療法にも抵抗性を示し予後不良となる症例が存在する。口腔扁平上皮癌の治療成績の向上にはこのような高悪性度症例の制御が必須となる。そこで、本研究では高悪性度口腔扁平上皮癌症例由来の原発腫瘍組織および初代培養腫瘍細胞を用いてゲノム解析と治療法の探索を試みた。最初に、転移性口腔扁平上皮癌患者の原発、リンパ節転移腫瘍組織および癌性胸水からそれぞれ初代培養を行った。次に、原発腫瘍組織およびこれら細胞からゲノムDNAを抽出し、ターゲットディープシーケンシングによる腫瘍遺伝子変異解析を行った。その結果、原発腫瘍組織および全ての細胞からTP53、PIK3CAの変異が、さらに原発腫瘍組織および転移巣由来細胞からはHRASの変異が検出された。つづいて、PIK3CAおよびHRAS活性化変異に基づいた分子標的治療の有用性を検討するためにPI3K/mTOR阻害剤であるBEZ235およびMEK1/2阻害剤であるTrametinibの初代培養細胞の増殖に及ぼす影響について検討した。両剤とも全ての細胞に対して有意な増殖抑制効果を示したが、特にBEZ235の効果が顕著であった。また、転移巣由来細胞に対しては両剤の併用効果が認められた。さらに、BEZ235およびTrametinibはそれぞれの標的下流分子のリン酸化をほぼ完全に抑制していた。以上より、高悪性度口腔扁平上皮癌にはTP53の不活化のみならず癌遺伝子の活性化変異が存在し、これらが有用な治療標的となる可能性が明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画にしたがっておおむね順調に進捗しているが、まだ複数症例での解析が行えていない。
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今後の研究の推進方策 |
今後、複数の症例で同様の解析を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
解析対象症例がわずかであったため。
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次年度使用額の使用計画 |
複数症例の解析および動物実験に使用する予定である。
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