研究実績の概要 |
早期口腔癌において病理学的に診断された局所リンパ節転移は、その予後に影響を及ぼすことから、臨床的診断で頸部リンパ節転移陰性のT1およびT2口腔扁平上皮癌(cT1,2N0 OSCC)の患者における、リンパ節転移の関与および生存を予測する腫瘍浸潤パターンについて調べた。術前補助治療の行われていない原発腫瘍の外科的切除で治療されたcT1,2N0M0 OSCCの91症例を、浸潤様式(YK分類)、Worst Pattern Of Invasion(WPOI)、およびTumor Buddingの3タイプに基づいて病理組織学的およびサイトケラチン抗体で染色を行い免疫組織学的に評価した。91人中22人(24%)が病理学的に頸部リンパ節転移と診断された。単変量解析では、浸潤様式(p <0.01)およびTumor Budding(p <0.01)、脈管浸潤(p = 0.04)は頸部リンパ節転移と関連していた。しかし、ロジスティック回帰分析では、Tumor Buddingはリンパ節転移の唯一の独立した予測因子であった(HR= 3.15,95%CI= 1.337.45、p <0.01)。 浸潤様式(YK分類)、WPOI、およびTumor Buddingの3つのパターンすべてと、脈管浸潤、神経浸潤が5年の無病生存率に有意な予測因子であることが判明した。Cox多変量解析の最終モデルは、無病生存率における浸潤様式(YK分類)およびWPOIと比較したTumor Buddingは有意な因子になると明らかにした。(HR = 2.19,95%CI = 1.51-3.18、p <0.01) 我々の結果から、cT1,2N0 OSCC患者のTumor Buddingの強度が頸部リンパ節転移のための新規な診断バイオマーカーであり、治療ツールとなることが示唆された。
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