研究課題/領域番号 |
16K15831
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研究機関 | 愛知学院大学 |
研究代表者 |
下郷 和雄 愛知学院大学, 歯学部, 非常勤講師 (00158966)
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研究分担者 |
野本 周嗣 愛知学院大学, 歯学部, 教授 (40300967)
宮部 悟 愛知学院大学, 歯学部, 講師 (40534582)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 口腔扁平上皮癌 / OSCC遺伝子変異 / OSCC口腔細菌叢 / マイクロアレイ / 次世代シークエンサー |
研究実績の概要 |
口腔扁平上皮癌(以下OSCC)は、特に進展例において拡大手術や放射線、化学療法などの補助治療によって加療後に重篤な障害をきたし患者のQOLを著しく低下させ得る。他の癌腫と同様に早期診断・治療が予後やQOLの改善にとって喫緊の課題であるが、OSCCの癌部あるいは非癌部における腫瘍増殖に関連する因子は未 だ十分に明らかとされていないのが現状である。本研究の目的は、OSCCの早期診断、治療予後予測因子、また抗腫瘍薬剤の感受性に影響を生じ得る分子を、患者検体の癌部・非癌部の組織から得られた核酸の解析・比較を行うことで抽出し、治療計画立案に有用な臨床応用可能なマーカー分子を同定することである。 平成29年度からは口腔細菌のOSCCへの影響を検出するため、新たに唾液検体の解析を行っている。 1.ゲノム網羅的解析による候補遺伝子の抽出:OSCC患者及び口腔白板症患者、健常者の唾液検体と、OSCC組織検体から核酸を抽 出し、マイクロアレイで網羅的に遺伝子発現を検索した。また、OSCCに特徴的な細菌叢を抽出するため、OSCCなどの唾液を採取し、次世代シークエンサーで菌叢を解析した。 2.症例の蓄積とデータベース構築:症例情報や遺伝子、菌叢データ等を入力・保存した。 3.得られた情報の解析:マイクロアレイで抽出された候補細菌の検証、NGSで解析した細菌叢に対しての多様性解析などを行い、有力なバイオマーカとしての可能性について検討した。4.当該分野における最新の知見の情報収集、結果報告:平成29年度には研究分担者及び研究協力者がAACR annual meeting 2018に出席し、当該研究に関する情報 収集を行い、口腔癌に関わる口腔細菌叢の変化について研究協力者が発表を行った。平成30年度には得られた知見を論文化し国際誌への採択を目指し投稿した。今後も学会発表と論文報告を継続する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初に設定した研究計画に大きな遅延なく研究が進行している。腫瘍検体採取のペースに合わせて、得られた検体からのRNA・DNA抽出を行い、随時マイクロアレイ及び次世代シークエンサーで解析を行った。最終的な解析は、十分な検体が得られ次第行う。当初に設定した組織検体目標には到達したが、より信頼性、説得力のある結果を得るべく、平成30年度末まで検体採取を継続した。結果は得られつつあるが、その解析にはやや時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
1.臨床症例における候補遺伝子の定量的解析:口腔癌の唾液検体、組織検体から得られた遺伝子変異情報を解析し、腫瘍関連遺伝子として有力な変異を選定し、それに対してRT-PCRなどを用いて定量的解析をおこなう。そのために必要な試薬等を科学研究費にて購入予定である。 2.臨床病理学的因子との相関についての検討:OSCC関連遺伝子の候補遺伝子・遺伝子変異の定量解析の結果と、各症例の臨床病理因子との相関について解析を行う。 3.口腔細菌叢変化と臨床因子との相関についての検討:OSCC関連細菌を検出し、その中から臨床的診断マーカ、予後予測因子を抽出すべく臨床因子との相関について解析を行い、遺伝子変異の結果も合わせて解析し新規の臨床マーカ因子を見出したい。 4.学会発表、論文投稿:同定し得たOSCCの新規関連遺伝子や菌叢変化について一定数の症例の解析が終了した段階で、国内外の関連学会にて発表、論文化を行う。 最終的には、マイクロアレイによる新規OSCC分子マーカの抽出と、OSCC に特異的な口腔細菌叢を組み合わせることで、これまでにない新規のOSCC臨床バイオマーカの特定を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由:当初に見込まれていた、マイクロアレイ等の外部委託費用を大学講座研究費の予算で施行可能であったため次年度使用額が生じた。 検体採取を平成30年度末まで行ったため、その解析に必要な費用を次年度に使用したいと考えたため。 使用計画:RT-PCRのための試薬購入、菌叢解析のためのキット購入や次世代シークエンサー施行、解析結果の学会発表などにに次年度使用額を使用したいと計画している。
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