研究課題/領域番号 |
16K15842
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研究機関 | 九州歯科大学 |
研究代表者 |
川元 龍夫 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (50323704)
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研究分担者 |
瀧口 玲子 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (80128800)
郡司掛 香織 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (90448811)
黒石 加代子 (中尾加代子) 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (60468303)
森田 淳平 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (50737046)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 永久歯先天性欠如 / 統計的調査 |
研究実績の概要 |
本研究は、既知の原因遺伝子に変異を認めない非症候群性の永久歯の先天欠如を発症したベルギ ー人家系において、X 染色体上に存在する遺伝子(遺伝子X)に変異が認められたことから、この遺伝子の歯の 発生への関与および機能を、臨床研究および実験動物を用いた基礎研究により検索することが目的である。 平成28年度は、九州歯科大学附属病院矯正歯科外来を受診した患者のうち、永久歯の先天性欠如を発現した患者の実態を調査した。 2011年から2015年の5年間に九州歯科大学附属病院矯正歯科外来を受診し、資料採得を行った初診時年齢5歳以上の患者492名(男性156名、女性336名、初診時年齢中央値16.8歳)から得られた、診療記録、パノラマX線写真、口腔内写真、顎態模型を用い、第三大臼歯を除く永久歯先天性欠如を判定した。なお、唇顎口蓋裂患者は除外した。検討項目は、性別、初診時年齢、歯種別欠如歯数、欠如歯数別発現頻度とした。統計学的解析は性別についてχ二乗検定、初診時年齢についてMann-Whitney検定を用いた。 永久歯先天性欠如を発現した患者は57名(男性19名、女性38名)、11.6 %であり、有意な性別差は認めず、矯正歯科からの過去の報告(9.0~10.2 %)と比較し若干頻度が高かった。永久歯先天性欠如を発現した患者の初診時年齢(中央値14.3歳)は、該当しない患者の初診時年齢(中央値17. 3歳)と比較し、有意に低年齢であった(P = 0.039)。歯種別欠如歯数は下顎第二小臼歯が30歯と最も多く、次いで下顎側切歯(28歯)、上顎側切歯(17歯)、上顎第二小臼歯(13歯)の順であった。欠如歯数別発現頻度は1歯欠如が5.49 %、2歯欠如が4.67 %、3歯、4歯、5歯、および6歯以上欠如はいずれも1 %以下で、それぞれ0. 2 %、0.2 %、0.6 %、0.4 %であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では、平成28年度のうちに、永久歯先天欠如罹患者から研究協力者を募り、ゲノム遺伝子を採取し、解析を行う予定であったが、これは達成できなかった。理由としては、ゲノム遺伝子の採取方法について、当初は頬粘膜細胞を採取する計画であったが、より非侵襲的な方法を画策したためである。検討の結果、唾液からゲノム遺伝子を採取する計画で、次年度以降に研究を進めていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
永久歯先天欠如罹患者およびその親族(健常者、罹患者を含む)のうち、 協力が得られた方の唾液を採取し、ゲノム遺伝子を得る。このゲノム遺伝子に対して、申請者が既に設計したプライマーセットを用いたサンガー法により、遺伝子Xの全エクソンの塩基配列を同定し、変異の有無を検索する。また、被験者から得られる臨床情報、特に TA の部位や歯 の形態異常などと併せて、遺伝子Xの変異による影響を評価する。 平成28年度に行った研究により得られた情報を基に、研究協力者を選出する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画していた遺伝子解析を行っていないため、消耗品などの購入数が予定より少なかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
ゲノム遺伝子採取・精製のための消耗品の購入、遺伝子解析の委託、研究結果の発表のための学会参加費・旅費に使用する計画を立てている。
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