研究課題
過剰歯は、顎顔面領域に見られる頻度の高い疾患の一つである。家族性を認める報告があるとともに、鎖骨頭蓋異骨症など好発する遺伝性疾患が存在することから遺伝的関与は間違いないものの、その原因遺伝子は明らかになっていない。一方、近年“Exome sequencing(全エクソンシーケンス)”により、家族性稀少疾患の原因遺伝子同定の成功例が報告されている。“Exome”とはヒトゲノムにおけるすべてのエクソン領域を示し、その配列に含まれる変異が疾患原因の約85%を説明すると推定されている。本申請課題の目的は次世代シーケンサーによる全エクソンシーケンスにより過剰歯、特に上顎正中埋伏過剰歯の家族性を呈する申請者所属機関で見出された4家系から候補遺伝子を抽出するのに加え、別の約48罹患者からその原因遺伝子変異を同定する。上顎正中過剰埋伏歯は、パノラマX線写真またはオクルーザルX線写真により診断した。上顎正中過剰埋伏歯を有する日本人を対象とした。罹患者2名を含む2家系、兄弟間のみで罹患者を認める1家系、姉妹間のみで罹患者を認める1家系について全エクソンシーケンスを実施した。本研究は、昭和大学ならびに関連機関の倫理委員会により承認を得て実施した。日本人罹患者における上顎正中過剰埋伏歯の形成に関与する候補遺伝子を抽出した。3家系内で共通して変異が存在した遺伝子にはSSPOのみであった。2家系内で共通して変異が存在した遺伝子にはAIM1L、AGRN、ATXN1、CDH26など23遺伝子を同定した。全エクソンシーケンスは埋伏歯の疾患変異の同定に有用であると考えられた。
すべて 2017 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 6件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (3件)
Angle Orthod
巻: 87 ページ: 68-73
doi: 10.2319/02316-154.1.
Hum Genome Var
巻: 4 ページ: 16046
doi:10.1038/hgv.2016.46
Plos One
巻: 12 ページ: e0170645
doi:10.1371/journal.pone.0170645
巻: 4 ページ: 17005
doi:10.1038/hgv.2017.5
Am J Orthod Dentofacial Orthop
巻: 152 ページ: 489-493
doi: 10.1016/j.ajodo.2017.01.027.
Arch Oral Biol
巻: 85 ページ: 142-147
doi: 10.1016/j.archoralbio.2017.10.005.