研究課題/領域番号 |
16K15849
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
高橋 温 東北大学, 大学病院, 助教 (50333828)
|
研究分担者 |
木野 康志 東北大学, 理学研究科, 准教授 (00272005)
岡 壽崇 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 助教 (70339745)
篠田 壽 東北大学, 歯学研究科, 名誉教授 (80014025)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 福島第一原発事故 / 環境線量評価 / 歯 / アカネズミ / 放射性ストロンチウム |
研究実績の概要 |
福島第一原発事故後の環境における汚染を評価するために測定環境に棲息する標準生物であるアカネズミの採取と捕獲場所における土壌採取を行った。環境における汚染評価は土地の状態によって近接している地点においても非常にばらつきがあり、画一的な汚染評価を行うことが困難である。そのため本研究では地域に生息する動物の汚染評価を行うことでその棲息地域の汚染評価をできるのではと考え実施した。世界的な標準生物であるアカネズミを対象として採取し、併せて捕獲場所の土壌並びに環境空間線量率の計測を行った。採取にあたっては福島県の帰宅困難区域と、コントロールとして弘前市郊外の地点を設定した。採取に先立ち、研究協力者である弘前大学保健学科の三浦冨智准教授の支援を受け、当該自治体の区域内への立ち入り許可を得た。福島県の採取地域における空間放射線量率は20.4μSv/h, 19.8μSv/h, 7.8μSv/h, 0.27μSv/hであった。捕獲地点において土壌を採取し、その中に含まれる放射性セシウム137、放射性セシウム134をゲルマニウム半導体検出器により測定した。それぞれの採取地点の土壌への放射性セシウム137、放射性セシウム134の沈着量は空間線量率と相関があった。βカウンター移設による影響で純ベータ―線核種である放射性ストロンチウム測定が遅延しているが、次年度に速やかに実施する予定である。アカネズミについてはイメージングプレートによる含有放射性物質スクリーニングのために上下切歯を抜去が終了した。今後は切歯のQL値と土壌含有放射性セシウム137、放射性ストロンチウム90濃度との相関を検討し、アカネズミの歯におけるQL値が環境汚染程度とどのような相関があるのかを検討し、アカネズミの歯を用いた環境評価が妥当であるのか否かの総合的な判断を行う。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
放射性ストロンチウム測定のためのβカウンターの移設が必要になり、そのために数か月βカウンターの使用ができない状況であった。そのため今年度はサンプル採取と空間線量率およびγ線計測の測定にとどまってしまったが、βカウンターの移設が完了し校正も実施したことから次年度以降速やかに測定を開始できる。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度実施する予定であったβカウンターによる放射性ストロンチウム等のβ線放出核種の測定を実施し、併せて高感度ゲルマニウム検出器による放射性セシウムの定量を土壌サンプルについて行う。併せて切歯におけるイメージングプレートの検討でのQL値を測定し、土壌サンプルや空間線量率との相関を検討する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
放射性同位体濃度を定量する際にβ線核種の測定にβカウンターを使用しているが、本年度はこのβカウンターを移設する必要が生じた。移設とキャリブレーションのために数か月のロスタイムが生じ、そのため進捗に遅れが出たが移設が終了したので速やかに測定できる状態にある。以上の経緯からβ線測定にかかる費用を次年度に計上した。
|
次年度使用額の使用計画 |
β線測定時にサンプル調整が不可欠であるが、本検討では放射性ストロンチウム測定が必要になる。そのために化学分離を経てストロンチウムを抽出するが、その際の核種試薬、測定にかかるガス、外注費として執行する予定である。
|