研究分担者 |
菅原 俊二 東北大学, 歯学研究科, 教授 (10241639)
市川 博之 東北大学, 歯学研究科, 教授 (20193435)
佐藤 しづ子 東北大学, 歯学研究科, 助教 (60225274)
庄司 憲明 東北大学, 大学病院, 講師 (70250800)
飯久保 正弘 東北大学, 歯学研究科, 講師 (80302157)
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研究実績の概要 |
我が国では超高齢化や食生活の変化などを背景に味覚障害者が急増している。味覚障害は単なる感覚障害に留まらず、高齢者では食欲不振から体重減少、さらに体調不良に陥る場合が多い。我々は、他の基本4味(甘、酸、塩、苦)の感受性は正常でありながら、「うま味」感受性のみが低下するため極度の食欲不振に陥る高齢者を数多く経験し報告している。本研究では、「うま味感受性低下」は、唾液中グルタミン酸塩および味覚受容体遺伝子に起因するという仮説を立証することにより、「うま味感受性低下」に対する診断と治療の標準化・均霑化にチャレンジし、国民の健康長寿の実現に貢献することを目的としている。 当該年度はうま味感受性低下の患者に対し、液体クロマトグラフ・アミノ酸分析システムを用いた唾液中のグルタミン酸塩定量測定およびリアルタイムPCR法によるうま味受容体遺伝子の定量解析をおこなった。味受容体遺伝子の試料採取部位として舌後方側縁部の葉状乳頭領域を選択し、安全かつ定量的に味細胞を採取した。試料からTotal-RNAを抽出(High Pure tissue Kit, Roche)し、RNAの濃度測定を行った後、逆転写反応(Transcriptor First Strand cDNA Synthesis Kit.Roche, Mastercycler, Eppendorf)により作製したcDNAをテンプレートとしてリアルタイムPCR定量解析(CFX96,Bio-Rad)を行った。 その結果、うま味感受性低下の患者では唾液中のグルタミン酸塩の量が低下していた。一方で味受容体遺伝子の発現量に統計学的有意差はみられなかった。
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