研究課題/領域番号 |
16K15851
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
小坂 健 東北大学, 歯学研究科, 教授 (60300935)
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研究分担者 |
相田 潤 東北大学, 歯学研究科, 准教授 (80463777)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ゲノム情報 / 口腔疾患 / 循環器疾患 |
研究実績の概要 |
口腔や全身の健康を規定するおもな要因として、遺伝的要因および社会的決定要因(社会経済状態や保健医療制度など、健康を規定する社会環境要因)が相互に関連しあって健康に影響を与えることが、近年の研究で明らかになりつつある。遺伝子と社会環境の相互作用の解明は重要な科学的課題である。しかし、先行研究では、これらの要因を同時に考慮した研究は少ない。そこで、本研究は遺伝子と社会的決定要因の両方向からのアプローチにより、口腔と循環器疾患の関連を明らかにすることを目的とする。 東北大学メディカル・メガバンクの調査に参加し、歯科臨床データの収集をおこなうこととなっている。研究に必要な歯周病のリスク遺伝子(ABHD12B, WHAMM, AP3B2)および循環器疾患のリスク遺伝子(Kruppel-like family of transcription factor)について、連携研究者である東北大学メディカル・メガバンク機構の坪井教授の協力により、研究代表者の小坂が循環器疾患の解析を、研究分担者の相田が口腔疾患の解析及び統計学的な解析を実施する。並行して文献レビューをし、歯周病や循環器疾患のあらたなリスク遺伝子があればデータベースに追加した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
東北メディカル・メガバンク機構におけるデータの分譲が遅れているため、遺伝情報の解析に時間がかかっている。口腔内のデータについては、データクリーニング含め実施されいていることから、分譲が始まれば解析は速やかに実施できるものと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
検証仮説である循環器疾患の遺伝的リスクが低い人では、歯周病が循環器疾患に大きく寄与する Rothmanの因果のパイモデルを踏まえ、循環器疾患の遺伝的リスクが低い人は、そうでない人にくらべて歯周病が循環器疾患のリスクに寄与する割合が大きいと考えられる。この仮説を検証することで、どのような遺伝要因の人で、口腔への介入が循環器疾患の予防に有効かが明らかにする。本研究では循環器疾患の遺伝的リスク(Kruppel-like family of transcription factorの変異)によって、歯周病と循環器疾患の既往や血中CRP量との関連が異なるかを明らかにする。 具体的な分析は、以下の手順でおこなう。データの入手やマネジメントは小坂が行い。統計解析は研究分担者の相田が実施する。1.対象者の社会的決定要因を統計的手法(傾向スコアマッチング法)により均一化する 2.循環器疾患の遺伝的リスクにより対象者を層別化し、歯周状態と循環器疾患の既往および血中CRP量の関連をロジスティック回帰分析により調べる。
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次年度使用額が生じた理由 |
東北メディカル・メガバンク機構のデータ分譲が進まず、本年度は使用が減ったが、次年度の分譲があり、そのため経費の確保が必要になったため。
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