循環器疾患をはじめとする全身疾患に対して口腔が与える影響が注目されてきている。口腔や全身の健康を規定するおもな要因として、遺伝的要因および社会的決定要因(社会経済状態や保健医療制度など、健康を規定する社会環境要因)が相互に関連しあって健康に影響を与えることが、近年の研究で明らかになりつつある。遺伝子と社会環境の相互作用の解明は重要な科学的課題である。 歯周病と循環器疾患の先行研究はいくつか存在するが、すべての研究が一貫した結果を示しているわけではない。その要因のひとつに、歯周病と循環器疾患が、共通のリスク要因(喫煙など)を有することがあげられている。すなわち、歯周病と循環器疾患の関連を調べるときには、これら共通のリスク要因の影響をいかにして除外するかが重要である。本研究は遺伝子と社会的決定要因の両方向からのアプローチにより、口腔と循環器疾患の関連を明らかにすることとした。将来の個人別のオーダーメイド介入を目指し、東北メディカル・メガバンク機構などのゲノムコホートを用いて遺伝情報と社会経済状況を含む社会要因や環境要因を考慮した上で口腔と循環器疾患の解析を試みた。 東北メディカル・メガバンク機構の口腔関連のデータクリーニングの終了が時間がかかっており、当初の予定より、遅れているものの、口腔と循環器病疾患との関係についての解析を実施した。まだ、暫定の結果では口腔状態を含めて解析しているものの、明らかな結果は出ていない。
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