本研究の目的は再生歯肉による歯肉溝モデルの開発により、動物実験に代わる歯周疾患予防法開発のための前臨床研究を推進することである。 人工バイオフィルムの分野においては、歯周疾患と強い関連があるRed complexの3菌種(P. g ATCC33277株、T. f ATCC43037株、T. d ATCC35405株)とバイオフィルム形成の土台となるS. gordonii(S. g)を用いて、歯根上へのバイオフィルム形成を試みた。ぺリクル加工無、S. g 培養無、S. gの代替としてS. m培養有と条件を変え、比較検討するために、、バイオフィルムの観察をSEM(日立 S-5000)にて行った結果、4菌種すべてが歯根上に付着し、バイオフィルム形成が確認された。S. g培養無では、P. gのみ少数の付着がみられ、ペリクル加工無、S. g培養有でも4菌種が確認されたことから使用した。 また、S.g、P. g、T. fとT. dのバイオフィルムについて、Miseq次世代シークエンサーにてバイオフィルム形成1~14日目の経時的に菌叢分析を行った。 以上の結果から今回使用した4菌種(P. g、T. f、 T. dとS.g)でのバイオフィルム形成が可能であることが明らかになった。よりシミュレーションに適したバイオフィルム形成条件を設定するために、今後さらに条件変えて、詳細な検討が必要であると考えられた。 人工歯肉溝の分野においては、これまで再現が難しかった歯肉溝の組織をプロトコールの再検討により、再現可能とした。
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