研究課題/領域番号 |
16K15862
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
尾崎 章子 東北大学, 医学系研究科, 教授 (30305429)
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研究分担者 |
川村 佐和子 聖隷クリストファー大学, 看護学部, 教授 (30186142)
川原 礼子 東北大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (40272075)
山本 則子 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 教授 (90280924)
西田 幸典 昭和大学, 保健医療学部, 講師 (50464714)
齋藤 美華 山形県立保健医療大学, 保健医療学部, 教授 (20305345)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 在宅 / 死亡診断 / 死亡確認 / 死亡時の看護プロトコール / 死亡診断等ガイドライン |
研究実績の概要 |
平成29年9月に発出された「情報通信機器(ICT)を利用した死亡診断等ガイドライン(以下、ガイドライン)」(厚生労働省,2017)は、医師が情報通信機器(ICT)を利用して死亡の事実の確認や異状がないと判断できること等の一定の要件を満たす場合に、医師が遠隔から死亡診断を行い、死亡診断書を交付することの具体的運用である。そこでは「正当な理由のために、医師が直接対面での死亡診断等を行うまでに12時間以上を要することが見込まれる状況」が、対面での死後診察によらずに死亡診断書を交付できる要件のひとつとなった。訪問看護師による死亡確認をめぐる対応は、医師が12時間以内に到着可能な場合と、医師が到着に12時間以上かかる場合では別個に検討する必要が生じた。 そこで本研究では、前者に関しては「訪問看護師として看取りのプロセスの中で実施するプロトコール(標準的な死亡時の看護プロトコール)」、後者に関しては「研修を受けた訪問看護師のみが実施するプロトコール(法医学的観点を盛り込んだ死亡時の看護プロトコール)」を作成することとした。 平成29年度は「標準的な死亡時の看護プロトコール」の試案を作成するとともに、医師の迅速な往診による死亡診断が困難である島しょやへき地での看取り・死亡診断・死亡確認の実態について、保健師および訪問看護師にインタビュー調査を行い、「法医学的観点を盛り込んだ死亡時の看護プロトコール」試案の作成に必要な情報収集を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね順調に進展しているが、「標準的な死亡時の看護プロトコール」の試案は、実際に試行を行うところまでは至っていないため、平成30年度に実施し精練していく必要がある。医師の迅速な往診による死亡診断が困難である島しょやへき地での看取り・死亡診断・死亡確認の実態については例数が少ないため、さらにインタビュー調査を継続し、例数を重ねる必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
まず、「標準的な死亡時の看護プロトコール」(案)の試行を行い、精練させていく。 次に、「研修を受けた訪問看護師のみが実施するプロトコール(法医学的観点を盛り込んだ死亡時の看護プロトコール)」については、平成30年1月からガイドラインに基づき、看護師を対象とした法医学に関する研修が開始されたばかりで、先駆的実践例がない状態である。引き続き医師の迅速な往診による死亡診断が困難な地域での看取り・死亡診断・死亡確認の実態についての知見を得て、「法医学的観点を盛り込んだ看護プロトコール」の作成を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
申請時の計画では、平成29年度は在宅・特養における死亡確認に関する医師との事前協議書を作成して試行を行う予定であった。しかし、内閣府から「規制改革会議 規制改革に関する第4次答申」(平成28年5月19日)、厚生労働省から「情報通信機器(ICT)を利用した死亡診断等ガイドライン」(平成29年9月)が発出され、国策が大きく動いた。国策の動向に合わせ、研究計画の変更を余儀なくされたため、当初予定していた支出にも変更が生じた。 次年度使用額は、平成30年度の助成金とあわせて、医師の迅速な死亡診断が困難な地域におけるインタビュー調査の継続実施、「法医学的観点を盛り込んだ死亡時の看護プロトコール」試案の作成に係る旅費や謝金として使用する予定である。
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