研究課題/領域番号 |
16K15875
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研究機関 | 茨城県立医療大学 |
研究代表者 |
吉良 淳子 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 教授 (40269379)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | リンパドレナージ / シミュレータ |
研究実績の概要 |
平成28年度は,リンパドレナージの手技をデータとして入力できるシミュレータの試作を行った。具体的には,リンパ浮腫治療の専門家の意見を伺い,シミュレータの形状や複雑なドレナージ技術の中から基本的な技術を取り上げることを決定した。 1.圧力センサーとモデルの開発(側腹部):モデルのベースは硬質のウレタン発泡材で製作し、軟質ウレタン材で表皮を製作しベースの上に被せ,表皮の下に、圧力・位置センサーとインターフェイスユニットを配置した。 2.コンピュータシステムの開発: 1)部位、圧、皮膚の動きを可視化した。2)模範手技の入力を可能にした。3)学習モードで模範手技と比較し、結果をフィードバックできるようにした。 センサーを内蔵した腹部モデルの作成を(株)アール・ティー・シーに、コンピュータシステムの開発を(株)ロジックデザイン(茨城県水戸市)に依頼し,また、企業間連携には、つくば研究支援センターのコーディネータの協力を得た。 3.シミュレータシステムの評価:1)モデルの妥当性:A4版大のセンサーを埋め込み試作したものは,皮膚の進展や柔らかさなどに改善の余地があった。またセンサー部分も拡大する必要がある。2)シミュレーターの信頼性:センサーおよびモニター表示において,2点を同時に圧迫した場合のノイズが発生することがわかった。 以上から,試作品において,さらにシミュレータとしての妥当性と信頼性を高めるための課題が明らかとなった
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
シミュレータの試作まではほぼ計画通りに進行できた。 しかし,第1段階の試作品は人の皮膚の進展や柔軟性を十分に反映できなかった。また解析システムの精度にも課題が生じた。 これまで人体モデルにセンサーを埋め込む方向性で検討してきたが,手に装着する手袋型のセンサーを用いたシステムへの変更も検討している。またデータの解析方法をより簡単にすることも含めて,協力業者に改良を提案しているが時間を要している状況である。 したがって,平成29年度に実用性の検討を目的としたデータ収集を行うには,さらなる検討・機材の改良が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は,前年度に明らかとなった課題解決に向けて取り組む。 具体的にはシミュレータの精度の向上を目指す。シミュレータの形体の変更(ボディ型から手袋型へ)も視野に入れて検討を重ねる。
試作機の改良を行った後,リンパドレナージのスキルの異なる人々の協力を得てデータを収集し,センサーおよびモニター表示の精度,学習モード機能,操作の簡便性などについて評価を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
シミュレータ試作品の完成が遅れ,評価研究が翌年度に持ち越しとなった。そのため,旅費,人件費(謝礼等)が使用されなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度は,28年度に明らかになったシミュレータ試作機の課題解決のための改良を行う。その後,シミュレータの評価研究を行う予定であるため,データ収集および分析の協力者への謝金等に使用する。
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