本年度、調査2は、周麻酔期看護師の役割を明確化し、その教育プログラムを検討するために、周麻酔期看護師と協働している他職種へのアンケート調査を実施した。看護管理職の有効回答率は約30%であり、主に、周麻酔期看護師として一般看護師の他、多職種との連携も強化し、周麻酔期の患者支援の実施に期待していた。手術室看護師は有効回答率は約40%であり、手術室看護師への麻酔に関連した教育や看護研究の教育の提供、麻酔・手術時の困ったときの相談役として期待していた。麻酔科医師は有効回答率は約80%であり、医学教育をベースとし、特に術前後の看護師の役割の強化に期待していた。これらの結果から、医学教育と共に教育・研究・相談・調整などの高度実践看護教育が必要であることがわかった。調査3では海外の周麻酔期看護師の教育の把握のために、米国とベトナムの麻酔看護師にインタビューを行った。その結果、米国の教育ではシミュレーション教育の重要性を示し、日本より臨床症例数も多く積み重ねていた。また、麻酔看護とは、周麻酔期の患者の恒常性を保つことであることが明確化された。ベトナムでもシミュレーション教育の重要性を示した。大学院における実践型教育過程プログラムとして高度実践看護教育の他、麻酔管理のシミュレーション教育や症例検討数を検討し導入していく必要がある。調査4は麻酔管理に関するエビデンス構築の教育として、手術の危険因子である肥満と疼痛感度の変動についてそのメカニズムを追究し、周術期の鎮痛管理の評価を行うため、実験的アプローチ手法を検討した。モデルマウス及びヒト皮膚組織を用いての感覚神経の組織学的解析と分子生物学的解析を確立した。その結果、肥満の皮膚において神経反発因子SEMA3Aの発現が低下し、疼痛感度の上昇することがわかった。今後もエビデンス構築の教育として、このような思考型教育過程プログラムとして導入する。
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