研究課題/領域番号 |
16K15883
|
研究機関 | 県立広島大学 |
研究代表者 |
藤井 宏子 県立広島大学, 公私立大学の部局等(三原キャンパス), 准教授 (80403781)
|
研究分担者 |
田中 亮 広島大学, 総合科学研究科, 准教授 (50454880)
小玉 一樹 福山平成大学, 経営学部, 教授 (80736934)
佐藤 陽子 広島大学, 病院(医), 副看護部長 (10782584)
仙波 亮一 九州国際大学, 現代ビジネス学部, 准教授 (70823938)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | パワーハラスメント認知 / 自己愛 / 職場無作法 |
研究実績の概要 |
昨今,問題視されているパワーハラスメントは個人にとっても組織にとってもなんら利益を生じさせない。パワーハラスメントは許される行為ではない一方,パワーハラスメントとは言い難い事象を誤認する者がいることも確かである。本研究は職場における人間関係の不調について①不調の初期の段階とされる職場無作法の認知,②上司の過敏型自己愛特性と部下への指導躊躇との関係性,③パワーハラスメントの認知の3つの研究を行った。 ①職場無作法の認知:転職回数が多く自己顕示抑制の得点が高い者は職場無作法を認知しやすいことが示されたが,リーダーとメンバーとの交換関係が良い場合には職場無作法認知が緩和されることが示された。 ②上司の過敏型自己愛特性と部下への指導躊躇との関係性:部下への指導が必要な場面で上司が指導を躊躇するか否かについて対象者の対人恐怖傾向との関連性が指摘されている過敏型自己愛特性との関係性を検討し,過敏型自己愛特性の高い者は部下の指導を躊躇することが確認された。 ③パワーハラスメントの認知:判例を基に3本の映像媒体(パワーハラスメントあり×認知されにくい,部分的にパワーハラスメントあり×誤認されやすい,パワーハラスメントなし×誤認されやすい)を作成し,企業や医療現場で勤務する者約150名に対し調査を行った。分析の結果,過敏型自己愛性特性の高い者はパワーハラスメントがない場合にも誤認しやすいことが示された。 以上の結果から,裁判でパワーハラスメントがないと言われる事象でも個人特性によっては誤認される可能性があること,職場の人間関係の不調の初期の段階ではリーダーとメンバーとの関係性が介入策となり得ることが示された他,過敏型自己愛特性の高い上司は部下の指導が必要な際にも躊躇する可能性があることが示された。
|