研究課題/領域番号 |
16K15884
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研究機関 | 山口県立大学 |
研究代表者 |
家入 裕子 山口県立大学, 看護栄養学部, 講師 (20716584)
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研究分担者 |
藤村 孝枝 山口県立大学, 看護栄養学部, 教授 (00264979)
吉村 眞理 山口県立大学, 看護栄養学部, 准教授 (40274188)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 感染対策 / 高齢者保健施設 / 感染管理認定看護師 / 感染対策チェックリスト |
研究実績の概要 |
昨年度実施した質問紙調査結果をふまえて作成した感染対策チェックリストに基づき、A県内の32施設(特別養護老人ホーム19施設、介護老人保健施設4施設、養護老人ホーム2施設、介護療養型医療施設・軽費老人ホーム他7施設)について訪問調査を実施した。 感染対策チェックリストは15の中項目、65の小項目で構成しているが、15の中項目のうち、「感染委員会の設置」、「感染防止対策マニュアルの整備」、「感染症の把握」、「廃棄物管理」、「感染研修」、「食品管理・食中毒予防」の6項目については、概ね7割以上の施設で適切に実施されていた。「手洗い」、「個人防護用具」、「洗浄・消毒」、「スタッフの健康管理」、「入浴設備」の5項目については、適切に行われている施設が5割を下回っている小項目が、特にアルコール手指消毒剤の管理と使い捨て手袋等の適切な使用について課題を認めた。「患者ケア用品」の管理においては、尿器や陰部洗浄用ボトルの管理において改善を必要とする施設が3割程度であった。「リネンの管理」においては、リネンの保管に課題を認めた。「清掃」については、概ね5割が適切であったが、再利用のモップ・雑巾の管理に課題を認めた。また、各施設の状況に応じた感染対策の工夫例や取り組み事例等の収集も行った。 訪問調査時にはあわせて施設の状況や要望に応じた研修、相談対応、情報提供等の教育的介入を行った。また、訪問終了後に感染対策チェックリストのよる評価結果に加え、対策が適切に行われている点と改善が必要な点をわかりやすく示した報告書を施設管理者に送付することにより、高齢者施設の感染対策に活用できる資料として提供している。これらの介入効果については、次年度にフォローアップの訪問調査を行い、実態調査及びインタビューを行う予定としている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
A県内の8保健医療圏毎に1~3施設について感染対策チェックリストに基づいた訪問調査を実施することができ、地域全体としての感染対策の課題を明らかにすることができた。また、訪問時に感染管理認定看護師が行った教育的介入策や各施設で独自に行っている工夫例や取り組み事例についても情報収集できたことによって、効果的な介入策の検討につながる有用なデータが得られたと考える。
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今後の研究の推進方策 |
1.訪問ラウンドによる教育的介入効果の検討 平成28年度及び29年度に実施した高齢者施設に対するフォローアップの訪問調査を実施し、感染対策チェックリストに基づく評価や実施した教育的介入の効果について検討する。 2.高齢者福祉施設の効果的な感染対策のサポートブックの作成 上記の介入効果の結果を踏まえ、訪問ラウンドで得た知見をもとに、高齢者福祉施設の実態に応じた効果的な感染対策のサポートブックを作成し配布する。県内の施設に印刷物として配布する他、HPからダウンロードできる電子書籍の作成を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度実施予定のフォローアップの訪問調査について、第1回目の訪問調査後半年以上経過してから2回目の調査を行うこととしていたが、1回目の調査の要望が10月以降に集中したため、2回目の調査を次年度に繰り越すこととしたため。 また、次年度作成予定のサポートブックについて、当初電子書籍のみを作成する予定としていたが、印刷物としての要望があったため、次年度繰越費用の一部を印刷物作成費に充てる。
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