脳卒中患者の身体精神機能の回復過程において、顔貌の観察結果は障害の回復に伴って変化することを示している。顔貌の変化の観察を通して、回復期リハビリテーション期に移行する患者の障害の改善の程度を客観的に評価できれば、顔貌の変化は新しい神経科学看護アセスメント指標の1つとして利用可能である。そこで、CGの手法を用いて回復期リハビリテーション期にある脳卒中患者の三次元平均顔を合成し、障害の回復過程に伴う顔貌の変化をテキストマイニングを用いて質的に解析することを目的とした。 研究対象者は医師・看護師等149名。 方法は、男女別の脳血管障害患者の4 枚の平均顔画像を刺激画像として対象者にランダムに提示し、回復過程の順序の並び替理由を記述してもらった。次に、画像の再現順序を記述した数値データを説明変数とするクラスター分析を用いて、4段階の回復順序を再現できた群(全正解群)から、再現ができなかった群(全不正解群)まで対象者を分類した。更に、Text Mining Studio Ver 6.0を用いて、ことばネットワーク解析と対応バブルチャート解析を実施した。 解析の結果、全正解群と関連が深い印象変化のことばネットワークは、目、口角、及び表情の3点が強く連結していた。目では【目の焦点が合う】【目力】、口角では、【口角が引き締まる】【口角が挙上する】、及び表情は、【表情が柔らかくなる】【顔色】であった。一方、全不正解群と関連が深い印象変化のことばのネットワークは、目と顔全体の2点が強く連結していた。すなわち、目では、【目元】【目のクマ】【瞼】であり、表情では、【ほうれい線】【顔の輪郭】【肌】【顔の張り】であった。 顔印象記述の結果から、研究者等による質的解析とTMSによる解析結果は類似した傾向を示したことも踏まえて、顔印象変化による神経科学看護アセスメント指標を作成できると考える。
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