研究課題/領域番号 |
16K15892
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研究機関 | 東京有明医療大学 |
研究代表者 |
北島 泰子 東京有明医療大学, 看護学部, 講師 (30434434)
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研究分担者 |
前田 樹海 東京有明医療大学, 看護学部, 教授 (80291574)
山下 雅子 東京有明医療大学, 看護学部, 准教授 (20563513)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 学問史 / 看護学史 / 看護の大学教育 / 思想 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、歴史が浅く学問史を持たない看護学に学問史を作ることである。看護基礎教育における一般専門科目としての看護学史の確立、一般化に寄与することは今後の看護学を発展させていくうえで必要であると考えている。 戦後、我が国初の看護系大学が開設されてから60 年以上が経過している。本研究を基礎的研究と位置づけ、現在現役を退かれた、学問としての看護の発展に寄与してこられた戦後第一世代の研究者、教育者に、看護において起きたさまざまなイベントに対する考え方(思想や理論)や、それらの歴史を直接語ってもらい整理する。戦後我が国の大学看護学教育は、1952(昭和27)年の看護系大学の開校から始まり、その数を次第に増やし2015(平成27)年度では248 校が開校するに至っていることから、看護が実学からひとつの学問形態を築いていった過程があると推測できるにもかかわらず、それらの記録の蓄積、系統的なまとめがなされていない。戦後、看護の大学教育が開始されるに至った時代に看護に携わった人々の思想は非常に貴重なものである。 平成28年度は、国立国会図書館の文献、資料、当該大学の卒業生名簿等から、看護における大学教育の黎明期に看護教育を受け、日本の看護学の歴史の構成要素となるイベントを体験してきた先人の洗い出しを行った。また同時にどのような理由から我が国の看護教育が大学で教育されるに至ったのか、その目的や当初の教育方法、教育者の考えについても広く文献や資料等から調査し、平成29年度に予定している先人へのインタビューを有益なものとするためのインタビューガイドの作成の手懸りとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成29年度には、看護におけるさまざまなイベントに対する思想や理論、歴史を直接語ってもらう先人へのインタビューを予定しているが、その準備であるインタビューガイドの作成が遅れている。加えてインタビューをお願いしたい先人には、所在が不明である方もいらっしゃり、約束を取るに至っていないことがやや遅れている理由である。
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今後の研究の推進方策 |
平成28 年度の準備をもとに実際にインタビューを行う。インタビュー対象者の人数はあらかじめ決めずに、新たなイベントが語られなくなるまで異なる対象者にインタビューを続けることとする。インタビューは基本的には1 回であるが、ひとりの対象者に対して2 回以上実施する可能性も排除しないこととする。一度インタビューを実施した対象者から得られた情報を整理し、他のインタビュー対象者から得られた情報と照合し、当初研究者が想定していなかった重要事項に関してすでにインタビューを終えている対象者に確認を得る必要がある場合などに複数回のインタビューが適用される。この手続きは、一度目のインタビューでは対象者が思い出せず証言が得られなかったイベントや思想を、再インタビューで他のインタビュー対象者から得られた証言を引き金として使用することで想起してもらう意味もある。 インタビュー対象者は平成28 年度に特定した人物以外にも及ぶことが予測される。その理由はインタビューガイドにも盛り込む予定となっている「自分以外に戦後の看護を支えてきた人物、イベントに対する思想を持っていた人物」をインタビューの中で紹介される機会が訪れる可能性があるからである。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度には、平成29年度にインタビューを依頼する先人の洗い出しを行ったが、該当者を探し出すための資料に国立国会図書館の文献や資料、当該大学の卒業生名簿等を使用した理由から旅費の使用が予定より少なくなった。当初の予定では高知県立大学看護学部での資料調査も予定していたが実施できなかったことから次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度に実施できなかった高知県立大学看護学部での資料調査を行う予定である。また平成29年度は、全国規模でインタビュー調査を計画している。またインタビュー対象者に対する謝金、インタビュー内容を録音するためのICレコーダ、USBメモリを含む事務用消耗品、インタビューの会話をメモするためのモバイルパソコン、テープ起こしのための賃金等に研究費を使用する。研究が中間発表、成果を公表できる段階に至った場合は、学会発表も視野にいれているため、そのための旅費、参加費、報告書印刷代等にも研究費を使用する予定である。
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