本研究は,末梢静脈穿刺困難時の看護援助プロトコールの開発であった.平成28年度から本研究に着手し,初年度は静脈穿刺時に実施されている看護援助の効果について研究分担者らと意見交換・情報収集を実施した.また,国内外の最新研究成果に関する文献を入手して今後の研究計画について再確認を行った. 2年目(平成29年度)には,静脈穿刺時の援助効果(クレンチングやタッピングの効果)について研究分担者らと実験を実施した.さらに,サーモグラフィや非接触型静脈可視化装置を静脈穿刺時の援助に用いることでの有用性についても検討した.これらの成果については,関連学会等で成果発表を行うことが可能であった.静脈穿刺に関する様々な知見を蓄積するため,学会活動等を通して様々な研究者らと交流も深め,静脈穿刺時の看護援助プロトコールの構築に関する様々な知見を得ることが可能であった.特に,目視での視認が困難な(いわゆる穿刺困難者の)静脈に関しても非接触型静脈可視化装置やサーモグラフィを用いることで表在静脈の描出が可能でないかと期待された.さらに,平成29年度より国内で静脈穿刺関連の研究を実施している看護研究者らと静脈穿刺関連の研究会を開催し継続的に実施することが決定した. 最終年度である平成30年度も静脈穿刺関連の研究会を開催し研究者,臨床看護師らと静脈穿刺に関する意見交換が行えた.課題研究を通して,静脈穿刺に関するネットワークが構築され,研究成果の共有やプロトコール構築に関してより多くの助言を得る体制を整えることが可能であった.研究課題である看護援助のプロトコールについては,今後も修正を行いながら構築を目指して継続して取り組む予定である.
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