研究課題/領域番号 |
16K15898
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研究機関 | 日本赤十字九州国際看護大学 |
研究代表者 |
柳井 圭子 日本赤十字九州国際看護大学, 看護学部, 教授 (60412764)
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研究分担者 |
エレーラ ルルデス 大阪大学, 医学系研究科, 招へい研究員 (40597720)
鈴木 清史 日本赤十字九州国際看護大学, 看護学部, 教授 (80196831)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 卵子提供 / 家族支援 / 出自を知る権利 / カウンセルング / 台湾人工生殖法 |
研究実績の概要 |
本研究は、卵子提供による非配偶者間生殖補助医療(以下、「本医療」)の立法化議論が停滞するなか、日本における本医療の家族形成支援に向けた課題を考察することを目的としている。本医療を受ける意思決定と生まれてくる子との家族形成への決意について、治療前の当事者の語りを分析した結果、生まれてくる子は自分の子であり、出自について早い時期に子どもに伝えたいことが明らかになった。このような決意に至るまで、カウンセリングを受けながら熟慮期間を経て治療に望んでいた。告知への重要性・必要性を理解するだけでなく、子には提供者の助けによって存在していること、望まれて生まれてきたことを伝え、支え合いながら家族になりたいと考えており、それが親となる決意を強めている。子どもの福祉について考える機会をもつことが本医療にとって重要である。もっとも出産後、子どもへの告知に少なからず不安を抱えていることも示されていた。治療後においても相談できるよう家族形成への支援の必要性があることを確認することができた。海外で本医療をうけ出産した家族にも告知の問題はある。台湾は、人工生殖法の下、国の管理監督で本医療が実施されている。匿名化・提供者は1組の夫婦のみとする制限・近親婚を防ぐための実施機関による報告の徹底、国の実施機関ごとの実施状況及び成果の公表、生まれた子どもを嫡出子とする等が保障されている。しかし、子どもへの福祉について配慮となる親として子の出自を知る権利について治療前より熟慮するよう求められることはない。育ての親こそ尊重されるべきとする社会の認識により告知を認めることには消極的である。告知は子どもの福祉をどう考えどう支えるかという問題である。家族形成への支援という課題が残されるなか、実施機関が行っている出産後の親同士の交流の場を設ける取り組みは支援の機会になりうることが示唆された。
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