研究課題/領域番号 |
16K15899
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
牧本 清子 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (80262559)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | SLE / 睡眠障害 / QOL / モニタリング / 尺度 |
研究実績の概要 |
本年度はSLE患者の睡眠のQOLをレビューし、倫理委員会の申請を行った。SLE患者の睡眠の質の予測因子について調査した研究は11件検出され、そのうち8件がThe Pittsburgh Sleep Quality Index (PSQI) を用いたものであり、その他はUppsala Sleep InventoryやMedical Outcome Studyなどの尺度を用いていた。調査した国は多様で、米国、カナダ、オーストラリアなどの英語圏のほかに、インド、イラン、タイなどのアジア圏からの報告もみられた。睡眠の質が悪い者の割合は、55%から81%と幅があったが、SLE患者の過半数は睡眠障害をもっていることが明らかになった。対象者の年齢は大きく異なり、インド、エジプトなどは20代、タイ、イランが30代、イタリア、カナダが40代、オーストラリアが50代であった。り患期間は短いもので、インドの2.8年(平均)、長いものでイタリアの15年であった。予測因子として調査されたものは、鬱、り患期間、疾患活動性、臓器障害、ステロイドの使用、そして疼痛であった。どの要因も一貫して睡眠障害の予測因子となった変数はなく、比較的多く有意な予測変数となったのは、鬱(8件中5件)、疾患活動性(7件中4件)であった。疼痛は5件中2件で有意な予測変数で、り患期間は6件中1件のみ有意であった。ステロイド使用は5件でいずれも有意な予測変数とならなかった。患者の背景が大きく異なるため、共通となる睡眠障害の予測因子が抽出されにくいと思われた。また、横断研究がほとんどであり、患者の睡眠障害や質がどの程度変動するのかは明らかにされていない。このレビューの成果をもとに、本研究では、一か月間の睡眠測定機器を用いたモニタリングを計画している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
データ収集を担当する大学院生が多忙になり、臨床でのデータ収集の日程が組みにくくなった。また、かなり詳細なデータを収集するため患者の負担も考慮に入れたデータ収集方法が必要である。倫理委員会の申請も予想以上に時間がかかっている。データ収集予定の3施設のうち、1つの施設で予備調査を行い、患者の負担の軽減を検討していくことになった。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、3名の予備調査の後、3施設から計30名からデータ収集する予定である。一人につき1か月間のデータを収集し、解析は逐次行っていく。データ収集の開始が遅れたため、本年度はデータ収集と、予備的データの解析結果を学会に発表予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
データ収集を依頼していた博士後期の院生が多忙となり、文献のレビューと倫理委員会への申請、物品の購入までしかできなかった。フィールドでのSLE患者への調査依頼であり、SLE患者のケアの経験があり、コミュニケーション能力が高い院生がほかにおらず、データ収集の準備のみ行った。
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次年度使用額の使用計画 |
今年は、データ収集に分担研究者が参加予定であり、1施設で3名の予備調査で、1か月間の睡眠のモニタリングと症状の変動について調査をする予定である。予備調査終了後、関西の2施設でデータ収集を開始する予定で、これらの医療機関から内諾が得られている。
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