本研究の目的は、SLE患者16名の睡眠、疲労感を毎日測定し、活動量やQOLなどとの関連を検証することであった。SLEの疾患活動性(SLEDAI)などの臨床データ、QOLデータ、睡眠の質のQOL、身体活動量の調査が完了した。1か月間、毎日連続して睡眠時間などを測定するモニターは、機器不良などにより、3名のデータが収集できなかった。詳細なデータを収集するため、モニター機器の操作が自宅でできる対象者に限られ、リクルートに時間を要した。現在、健常者対照群を患者の年齢、就業状況などでマッチングした者を選定し、データ収集を行っている。SLE参加者16名の平均年齢は44.1歳±8.0で、99.4%が女性であった。教育レベルは短大卒業者が約8割を占めていた。就労状況は約8割の者が就労しており、そのうち約2割は常勤であった。家族形態は、全ての対象者が家族と同居していた。喫煙者はいなかった。罹病期間は中央値が17.5年であり、4分位は10.5年であった。BMIは平均21.5±4.2であった。調査開始時のQOLについては、SF-12PCS(身体的QOL)は41.3±18.1で国民平均値より低かったが、SF-MCS(精神的QOL)は52.3±6で国民平均値と同様であった。1か月後も殆ど同様の数値であった。一方、疾患特異的QOL、LupusProは身体的健康やコーピングに変化がみられたた。対象者の一人は研究期間中に再燃し、患者が睡眠などのモニータを希望した。疾患活動性は増悪したが、QOLの点数自体に有意な変化はみられなかった。特徴的であったのはIRSS(むずむず足症候群)の点数が寛かい期および再燃期のはじめには0点で、再燃期の4週間後に13点と上昇したことである。SLE患者で腎不全の者にむずむず足症候群が出現することは報告されているが、再燃期の終わりに出現することは報告されていない。本事例については、国際誌に投稿予定である。
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