研究課題/領域番号 |
16K15901
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
宮下 美香 広島大学, 医歯薬保健学研究科(保), 教授 (60347424)
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研究分担者 |
車谷 洋 広島大学, 医歯薬保健学研究科(保), 講師 (00335647)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 認知機能 / 乳がん / 薬物療法 / 高齢者 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、術後補助療法として化学療法もしくは内分泌療法を受ける高齢乳がん患者の認知機能に対し、患者の主観的評価に加え客観的な縦断評価を行い、高齢乳がん患者の認知機能障害の実態を明らかにすること、および高齢乳がん患者の認知機能障害の予測因子を縦断的な包括的評価に基づき明らかにすることである。 平成29年5月より、研究対象者のリクルートを開始した。本研究では、乳がんに対する手術を受ける65歳以上の女性を対象とし、術後補助療法により化学療法群、内分泌療法群、無治療群に対象者を分類し、術後補助療法開始前、開始1ヶ月後、6ヶ月後、1年後の4時点においてデータを収集する。認知機能の測定は、認知機能の評価尺度であるFunctional Assessment of Cancer Therapy-Cognitive Function version 3 (FACT-Cog)日本語版、脳機能近赤外光イメージング装置(functional Near-infrared spectroscopy: fNIRS)を用い行う。認知機能の予測因子として、Cancer-Specific Geriatric Assessment (CSGA)日本語版、Mini-Mental State Examination(MMSE)、倦怠感、運動、医学的変数、人口統計学的変数を調査する。平成29年3月31日時点において、化学療法群7名、内分泌療法群20名、無治療群15名、合計42名の研究参加の同意が得られ、データ収集を行っている。 平成29年12月時点で内分泌療法群10名、無治療群6名に対し、ベースラインから1ヵ月後のデータの分析を行った結果、両群間に認知機能の変化量に有意な差はみられなかったが、内分泌療法群における「自覚された認知機能障害」の変化量の平均値は-3.1であり、無治療群においては1.7であった。目標症例数に達し、最終的な分析を行った場合、有意な差が見出されることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成29年度内に目標症例数に達しなかったため、研究倫理審査委員会の承認を得て平成30年8月31日まで研究対象者のリクルートを延長した。本研究は1年後にデータを収集する縦断調査であるため、最終年度である平成30年度内にデータ収集を終えることができない。したがって、進捗状況として、やや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年8月31日まで研究対象者のリクルートを行い、確実にデータを収集する。なお、研究対象施設を増やすことも検討したが、現在大学構内の建物で脳機能を測定しているが、大学病院とは別棟であり、やや距離があることから、対象者に負担が生じることがある。他施設においてリクルートを行う場合、さらに対象者の負担が増大することが予測されるため、リクルート期間を延長し、大学病院でのリクルートを継続した方がよいと判断した。
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次年度使用額が生じた理由 |
目標症例数に達しなかったため、次年度使用額が生じた。平成30年度に継続して行うリクルートにかかる費用に使用する予定である。
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