研究課題
がん患者の自律神経機能を主観的・客観的に検討し、治療中あるいは治療後長期経過後の自律神経機能異常を明らかにする。また、入浴ががん患者に与えるリラクセーションの効果を科学的に検証する。今回用いる自律神経機能測定器機は起立反射を用いて、従来の器機よりも正確な測定が行える利点がある。従って、今回の研究によりがん患者の自律神経機能障害の実態が明らかにされることにより、適切なケアプログラム、薬物療法の開発の端緒となる可能性が考えられる。また、入浴を根拠のある安楽の看護ケアとして位置づける予備的研究になりうる。さらに、がん患者の自律神経障害の薬物療法の開発の目的で、化学療法誘発自律神経機能障害モデルをin vitro, in vivoで作製する。前段階的研究として「看護学科大学生の自律神経機能の検討」を行ってきた。その結果、4年生は1-3年生と比し静止状態では副交感神経の機能低下・交感神経の機能亢進、起立状態では自律神経反射が亢進していた。また、癌患者の自律神経機能の予備的検討では、さまざまな異常があることが判明した。終末期がん患者を対象とした入浴の研究では、病から解放される時間と希望を提供し、スピリチュアルペインの緩和に繋がることや、自覚症状の改善が報告されている。終末期がん患者に対する入浴のリラクセーション効果を科学的に明らかにするために、生理学的、心理学的指標を用いた検討を行い、効果・安全性について明らかにした。今回の研究によりがん患者の自律神経機能障害の実態が明らかにされることにより、がん患者の抱える自律神経機能障害を早期に診断し、より科学的なエビデンスに基づくケアプログラム、副作用対策、介入療法の開発の端緒となる可能性が考えられる。
2: おおむね順調に進展している
終末期がん患者を対象とした入浴の研究では、病から解放される時間と希望を提供し、スピリチュアルペインの緩和に繋がることや、自覚症状の改善が報告されている。終末期がん患者に対する入浴のリラクセーション効果を科学的に明らかにするために、生理学的、心理学的指標を用いた検討を行い、効果・安全性について明らかにした。今後、終末期がん患者に実施している入浴を、安楽の看護ケアプログラムとして位置づけるための研究を継続する。
(1)抗がん剤の中でもタキサン類、白金製剤、ビンカアルカロイド、プロテアソーム阻害剤は末梢神経障害をきたしやすいことは良く知られている。さまざまな癌種に対する化学療法レジメン毎に治療経過中の自律神経機能を詳細に検討した報告は認められない。従って、本研究により、抗がん剤治療中の自律神経障害の実態を明らかにし、、適切なケアプログラム・介入治療の新たな途を拓くための研究を展開する。(2)小児がん患者の治療成績は飛躍的に進歩し、長期生存患者が増加している。がんサーバイバーの自律神経機能障害を検討し、その詳細な実態を把握する。 (3) 化学療法誘発自律神経障害モデルを培養細胞を用いた系、ラットの系で確立する。
統計解析を行うデータがまだ揃っていないため。
次年度に統計解析を行う予定である。
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