研究課題/領域番号 |
16K15912
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研究機関 | 中部大学 |
研究代表者 |
林 さえ子 中部大学, 看護実習センター, 助教 (40759544)
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研究分担者 |
大石 ふみ子 聖隷クリストファー大学, 看護学部, 教授 (10276876)
葉山 有香 同志社女子大学, 看護学部, 講師 (30438238)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 前立腺がん治療 / 性機能障害 / 看護実践 / 患者の体験 |
研究実績の概要 |
本研究の目的である、前立腺がん治療に伴う性機能障害に対し支援のできる看護モデルを作成するために、平成29年度は、平成28年度に引き続き、がん診療連携拠点病院の前立腺がん治療に関わる部門で3年以上の勤務経験を持つ看護師を対象とし、前立腺がん治療に伴う性機能障害への看護の介入状況、介入の促進要因・阻害要因について半構成的面接による調査を実施した。 対象は男性1名、女性9名であった。配属部署は化学療法室2名、がん相談支援センター2名、泌尿器病棟5名、泌尿器外来1名であった。前立腺がん治療に伴う性機能障害への看護実践の実態および関連要因が明らかになった。これらについてまとめたものを学会発表した。 また、平成29年度は患者を対象とした調査を実施するために、患者の体験を明らかにする目的で、我が国の前立腺がん治療に伴う性機能障害と看護研究についてレビューを行なった。 2005年以降において、前立腺がんに関する看護研究は、前立腺がん罹患者数の増加や治療の発展に比して少なかった。前立腺がん治療に伴う性機能障害は、患者に大きな喪失感を引き起こしていた。性欲や勃起能力といった自己の性に対しての自己評価は、自尊感情にも影響し、さらには社会との関わりの変化をもたらしていた。患者は各々の方法でそれらに対処しているが、妻をはじめとした他者と性機能障害に関する自己の気持ちについて思いや考えを共有したりするところまでは至っていなかった。妻も性機能障害を抱え落胆している夫を支えたい気持ちを持つものの、手術後の性生活について夫と話し合いたいとは考えていなかった。前立腺がん治療に伴う性機能障害に対する看護介入についての研究はわずかであり、看護師の性機能障害への介入自体が少なく、前立腺がん患者の性機能障害への具体的介入の検討は不足していた。これらについてまとめた論文を投稿した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度は1.看護師の前立腺がん治療に伴う性機能障害への支援の実態を明らかにする調査及び、2.前立腺がん患者の治療方法別の性機能の変化とQOLの変化を明らかにする調査を計画していた。 1については計画通り実施した。 2については文献レビューにより明らかになった患者の体験から質問紙を作成している段階である。
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今後の研究の推進方策 |
1.看護師の前立腺がん治療に伴う性機能障害への支援の実態を明らかにする調査については終了し、論文投稿を行う。 2.前立腺がん患者の治療方法別の性機能の変化とQOLの変化を明らかにする調査を開始する。 3.平成28年~29年度の研究成果を統合し、前立腺がん看護のエキスパートや専門医、患者の意見を取り入れつつ前立腺がん治療に伴う性機能障害に対し支援のできる看護モデルを作成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
前立腺がん患者の治療方法別の性機能障害の変化とQOLを明らかにする調査で、尺度を使用する予定であったが、尺度利用料が使われなかったため繰越金が生じた。 今年度、前立腺がん患者の治療方法別の性機能障害の変化とQOLを明らかにする調査を開始するため、その調査に必要な尺度の利用料や謝金として使用する。
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