本研究の目的は、睡眠への影響のあるレストレスレッグス症候群(RLS)について、妊娠合併症のある妊婦の発生頻度や重症度を把握し、妊娠から産褥までの主観的・生理学的データ収集し母子への影響を解明することである。以下の目的に従って研究をまとめた。1. 生理学的データ(血液生化学検査・末梢身体活動量)と主観的データ(質問紙)によるスクリーニングを行い、頻度・重症度を把握し、周産期アウトカムとの関連を把握する。2.RLS陽性妊婦の妊娠中から産褥までの縦断的フォローアップを行い、母児への影響(睡眠への影響、胎児の発育等、周産期の母児アウトカム)について関連性を記述する。 本年度は最終年に当たり、昨年までのデータ収集を整理し、妊娠糖尿病を合併した妊婦を対象に、RLSのスクリーニング(日本語版short form(CH-RLSq13)version 2.1)、5日間の睡眠時の下肢身体活動量、3日間連続の活動量(超小型加速度センサー:Actigraph)の分析を行った。 53人の妊娠糖尿病妊婦の協力が得られた。日本語版CH-RLSq13におけるRLS有病率は7人(13.2%)であった。睡眠に関してはRLS群で睡眠効率が有意に少なく、覚醒では中途覚醒とその長さがRLS群で有意に多かった。周期性四肢運動(periodic limb/leg movements: PLM)と睡眠との関連では、PLM index15/h以上の中にRLS/WED群は5人中2人であった。どの睡眠変数においても両群間で有意差を認めなかった。RLS/WED群の分娩への影響に関しては、総出血量(RLS/WED vs 非RLD/WED、1079.8g vs 476.1g)、会陰切開(75.0% vs 18.2%)、分娩歴において有意差を認めた以外、有意差を認めなかった。
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