研究課題/領域番号 |
16K15932
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
工藤 美子 兵庫県立大学, 看護学部, 教授 (40234455)
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研究分担者 |
丸 光恵 甲南女子大学, 看護リハビリテーション学部, 教授 (50241980)
富岡 晶子 東京医療保健大学, 医療保健学部, 准教授 (90300045)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 看護学 / 思春期・成人期 / がん患者 / セクシュアリティ |
研究実績の概要 |
がんの治療に伴う性や生殖機能の障害は、結婚、妊娠、出産などのライフイベントを迎える思春期及び若年成人期にあるがん患者・サバイバーにとって大きな問題となる。しかし、我が国においては性や生殖機能障害を有する思春期・若年成人がん患者・サバイバーへの支援のあり方は未だ十分に検討されているとは言えない状況にあることから、思春期・若年成人がん患者・サバイバーの支援に携わっている看護師の認識を明らかにし、この世代を対象とした支援の充実に向けた課題と方策を検討する目的で、看護職を対象としたグループインタビューを実施した。研究協力依頼は、小児看護専門看護師、がん看護専門看護師、がん診療拠点病院に勤務するがん看護の経験が3年以上の看護師に行った。 協力者を募ったところ、20人の看護職の協力を得ることができ、19人に対しては2~4人のグループに対するインタビューを、1人に対しては個別インタビューを実施した。インタビューを行う前に事前調査を実施し、所属部署やその診療科、職位、看護師経験年数やがん看護経験年数などの属性、対象患者が抱えている性機能や生殖機能・妊孕性の問題の相談を受けたり、対応したりした経験と具体的内容、この問題に対する支援の困難さの程度を調査した。インタビューでは、事前調査を基に、性や生殖機能の問題を有する若年成人がん患者・サバイバーに対し、性や生殖に関する支援をどのように実施し、支援に際して他診療科または他部門と連携・協働するうえでどのような困難/課題を感じているかを聴取した。 研究協力者全員が看護師経験6年以上であり、成人あるいは小児のがん患者に対する看護経験も6年以上で、小児看護専門看護師は7人、がん看護専門看護師は6人であった。インタビュー内容の分析の方向性を研究者間で検討し、分析を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通り、看護職インタビューを実施し、性や生殖機能障害を有する思春期・若年成人がん患者・サバイバーへの支援の実態を把握することができ、支援の充実に向けた課題と方策を検討することが可能な状況にある。
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今後の研究の推進方策 |
看護職インタビューを通して、実態把握ができたこと、対象となる患者へのインタビューの実施は難しいと考えられたため、看護職インタビューをもとに必要とされる課題解決支援とフォローアップ体制を検討する。検討した結果は、イギリスで性や生殖機能障害を有する思春期・若年成人がん患者・サバイバーへの支援を行っているサイコセクシャルセラピストのIsabel White氏が来日予定であるため、助言を得る。12月4-6日にオーストラリアで開催される3rd Global Adolescent & Young Adult Cancer Congressで本研究成果を発表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
グループインタビューにあたり、関東あるいは関西で実施計画を立て、全国より参加者を募り、旅費を負担する予定であったが、開催場所を研究参加者の居住地域に近い場所で行ったことから、旅費の支払いが予定より低額となり、次年度繰越金が生じた。 今後、来日予定のイギリスのサイコセラピストやナースコンサルタントより研究成果に対する助言を得るための謝金として使用する。さらに、成果はオーストラリアで開催される国際学会で発表するため、参加費ならびに旅費に使用すると共に、発表にあたり英語翻訳会社に委託しネイティブチェック等を依頼する。
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