研究実績の概要 |
前年度までの研究成果を元に、不妊治療後の妊産婦への倫理的実践と関連する要因を明らかにすることを目的として質問紙調査を継続実施した。対象は、全国の分娩を取り扱う病院に勤務する助産師で、不妊治療後妊産婦への周産期ケアを1年以上実施している者とした。測定用具は、作成した質問紙「不妊治療後妊産婦への倫理的助産実践質問紙」、既存の「改訂道徳的感受性質問紙日本語版(J-MSQ)」(前田,小西,2012)、自作の不妊治療に関する知識の質問紙、自作の人口統計学的データ質問紙とした。質問紙の信頼性確認のためテスト再テスト法を実施した。 研究の承諾が得られた施設は1,030施設の内189施設(18.3%)であった。対象助産師の質問紙回収数は1,005部であり、回収率は52.8%、有効回答率は97.3%であった。分析に用いた回答は978部とした。 調査結果の分析により明らかになった点は以下の3点である。①「不妊治療に関する知識」は「倫理的助産実践」への直接の関連は見られないが、「倫理的感受性」を通して一部に間接的な関連が見られた。②「不妊治療部門の臨床経験」「勤務施設内の研修会参加」「勤務施設外の研修会参加」が「ある」場合には、「不妊治療に関する知識」との関連と共に「倫理的助産実践」への部分的な関連が見られた。③「倫理的感受性」は「倫理的助産実践」との関連が見られた。 以上より、不妊治療後妊産婦への助産ケアにおいては、知識だけでなく倫理的感受性を育むことの重要性が明らかになった。
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