研究課題/領域番号 |
16K15936
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
小高 恵実 上智大学, 総合人間科学部, 准教授 (90275321)
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研究分担者 |
渡邊 碧 上智大学, 総合人間科学部, 助手 (30711105)
原田 尚子 上智大学, 総合人間科学部, 助手 (50637668)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 精神疾患 / 早期介入 / 家族支援 |
研究実績の概要 |
本年の研究内容は、国内外における精神科医早期介入家族支援の実態調査と、昨年度の実施途中であった評価指標作成のためのアンケート調査であった。 精神科早期介入の家族支援の実態に関する調査は、すでに早期介入が制度化されている英国の3施設にて行なった。その結果、家族支援は患者当事者自身への直接ケアと同等に重視され実施されていた。専門職は、家族に対してもケアプランを立案し、心理教育を行い、患者の再発防止に対して家族にプランを立ててもらうなど、家族は「ケアの対象者」と「患者の支援者」の両側面を担っていた。専任の家族ワーカーも存在していた。心理教育は、家族の状況により応じて、個人及びグループを対象として行なわれており、特にグループではそれぞれが抱えている問題や負担、疑問などを共有する場として、活用もされていた。国内では、家族を対象とした心理教育が実施されていたが、家族を対象としたケアプランの立案や、家族が患者の再発防止プランを立てる事などは行なわれておらず、家族対象を専門とするワーカーも存在していなかった。 評価指標の作成の為のアンケート調査は、対象の施設・対象者の確保が難航しており、特に本邦では早期介入の実施機関が少ない事もあり、早期介入を受けている家族のアンケート協力者を充分数確保する事が難しい状況にある。 来年度は最終年度であり、残されている評価指標の作成のアンケート調査で調査が中心となるが、対象者の参加状況によっては、対象者の選定基準の変更を行う必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概ね研究計画通りに進んでいるが、家族介入を評価する為の指標となる尺度開発に関しては、対象者の人数の確保が難しく、難航している。早期介入を受けている家族を対象としているが、本邦では早期介入自体ががまだ発展途上にあり実施している医療機関が少なく、患者数が少ない為、その家族数も必然的に少ない現状がある。また家族支援を個別に行なってる場合は、対象者一人一人にアクセスしなければならず、更に対象者の確保が難しい状況となっている。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である本年は、これまでのインタビュー調査及び実態調査(視察調査)のまとめと、残されている尺度開発の為のアンケート調査を実施予定である。アンケート調査の対象者は、その選定基準を変更して実施する予定である。来年度以降は、本研究の結果を元に実際に家族介入を行ない、その効果を評価し、家族介入プログラム作成にむけて、検証研究を継続して実施することを検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度に予定されていた尺度開発の為のアンケート調査が実施出来ず、これに関わる費用(委託費含)を使用しなかったため。次年度にアンケート調査を実施することで使用する。
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