2019年の主な計画は、トランスカルチャラル・ナーシング・シミュレーションの教育プログラム開発であった。これまでの研修会などの評価から、プログラムには動画を使用することとし、オンラインでのプログラム作成を行うこととした。その教材となる動画について、プログラムとしての適切性とオンラインプログラムの実現可能性についての評価を行った。 対象者は看護職、評価方法はアンケート調査とした。対象者の属性は、助産師28名、看護師4名、平均年齢33歳、平均経験年数9.6年であった。対象者の背景として「外国人のケアにおいて困難を感じている人」は30名(94%)と非常に多かった。アンケート結果は、動画視聴のpre-postで回答してもらったが、動画視聴後に大きく変化したのはコミュニケーションに対する考えた方の項目であった。特に変化したのは、「外国人患者に日本語以外の言語で話しかけられたとき、まずは英語で応える」に対し、強くそう思う、そう思うがpre25名(78%)であったが、post7名(22%)に減少していた。また関連して「外国人患者とのコミュニケーションは英語であれば成立する」はpre7名(22%)であったが、postは0名と外国人患者とのコミュニケーション=英語という印象が変化していた。しかし、「外国人患者に苦手意識がある」は、pre-postともに17名(53%)と変化がなかったが、強くそう思うがpre6名(19%)であったが、postは3名(9%)になっていた。動画が外国人ケアの院内研修などの教材として役立つかについては、とてもそう思う、そう思う、と31名(97%)が回答し、また動画全体の満足度はVASの10段階で7.7、学びの満足度は8.4であった。動画の適切性、プログラムとしての実現可能性は高い評価を得たとともに、動画がプログラムの主軸になりえる結果であった。今後は動画を精選し、汎用性のあるプログラムに構成し広く公開していく予定である。
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