本研究の目的は、生殖適齢期前の世代にある女子学生に向けたe-ラーニング妊孕性教育プログラムの開発と効果検証である。 平成30年度は、開発した「e-ラーニング妊孕性教育プログラム」の効果をインターネット上で検証した。 研究デザインは2群ランダム化比較試験であり、調査期間は平成30年4月~7月、対象者はオンライン調査会社に登録している未婚の女子学生、調査人数は1480名(実験群740名、コントロール群1480名)であった。介入は「e-ラーニング妊孕性教育プログラム」(2部構成)で、実験群はプログラム全て(第1部・第2部)を視聴し、コントロール群は第1部のみを視聴した。介入は介入実施者・測定者がブラインド化された単盲検で実施した。アウトカムは、妊孕性に関する知識得点(13項目)、認識得点(17項目)、行動変容の質問項目の3点であり、測定は、知識と認識を介入の直前、直後、1ヵ月後、3ヵ月後の4時点、行動変容を1ヵ月後、3ヵ月後の2時点で実施した。 対象者数および追跡率は、介入1か月後が実験群(n=414、55.9%)、コントロール群(n=412、55.7%)、介入3か月後が実験群(n=246、33.2%)、コントロール群(n=248、33.5%)であった。3か月後までの回答者を解析対象とした。 結果、妊孕性に関する知識得点は、介入直後、1か月後、3か月後の3時点全てにおいて有意差がみられた(p<.001)。妊孕性に関する認識総合得点は3時点において有意差はみられなかったが、認識を構成する4つの下位尺度因子のうち1因子において介入直後に有意差がみられた(p<.05)。妊孕性に関する行動変容の割合は3項目において有意に高かった(p<.001)。 現在、得られた結果をもとに学会発表および論文投稿の準備中である。
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