研究課題/領域番号 |
16K15942
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研究機関 | 東京工科大学 |
研究代表者 |
野澤 美江子 東京工科大学, 医療保健学部, 教授 (40279914)
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研究分担者 |
上澤 悦子 京都橘大学, 看護学部, 教授 (10317068)
森 明子 聖路加国際大学, 大学院看護学研究科, 教授 (60255958)
有森 直子 新潟大学, 医歯学系, 教授 (90218975)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 生殖看護 / 看護師 / コンピテンシーモデル |
研究実績の概要 |
本研究は、生殖医療の拡大・複雑化に伴い、現代社会が求める生殖看護に関わる看護師のコンピテンシーモデルを創生することを目的としている。平成29年度は、目標1)生殖看護の定義および概念を明らかにすること、目標2)生殖医療の特性に基づき看護師に求められる役割を明らかにすること、を達成するために下記を実施した。 1.文献レビュー:生殖看護のフレームワーク、看護の概念やコンピテンシーモデルの構築に関する文献を検討した。その結果、生殖看護の定義(広義および狭義)を明らかにできた。また、小児期から更年期までのライフサイクルにおける妊孕性に影響を及ぼす課題に関する看護について、国内外の文献をもとにレビューした。 2.第20回日本IVF学会でのパネルディスカッション実施:テーマは、高年齢者の高度生殖補助医療治療後の次世代養育の現状と課題であった。高齢母親への治療中から治療後妊娠までの継続的支援や、ハイリスク児の退院支援の実際と課題についてパネラーからの発表、指定発言者からの発言、ディスカッションで構成した。改めて不妊治療患者の高齢化による様々な課題を抱えた妊産婦が増加している現状を再確認すると共に、継続的な管理体制の必要性、地域包括ケアの支援、対象者に寄り添い時間をかけたケアの大切さが挙げられた。 3.生殖看護のコンピテンシー(案)の抽出:前述の文献レビューをもとに、生殖看護のコンピテンシー(案)として、思春期、生殖期(妊娠計画期、不妊治療期、治療後妊娠・出産、終結)、更年期のライフサイクルに分け、【知識・理解】、【行動・実践】、【連携・協力】、【指導・相談】、【管理】、【研究】の枠組みを作成した。さらに、これらをもとに調査項目を作成し、質問紙調査の準備を始めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
今年度は、調査準備としてフォーカスグループ・インタビューを行い、その後の質問紙調査の準備まで行う予定であった。しかし、インタビュー対象者として考えていた不妊症看護認定看護師の関わりが生殖期に集約されており、前後の思春期や更年期の看護に関するインタビュー内容の抽出が困難であることに加え、文献からコンピテンシーの原案作成ができたことから、フォーカスグループ・インタビューのプロセスを経ず、質問紙調査の項目作成に計画を変更した。それでもなお計画より遅れている理由として、下記の2点が考えられる。1.生殖看護が取り扱う範囲を決定した後、概念枠組みを検討するための文献検討に入ったが、予想外に文献が多く時間を要した。2.研究代表者が平成29年度に学科長に就任し管理者業務が多忙になったことに加え、介護等の私的負担が増え、公私ともに時間を取られリーダーシップをもって研究を牽引することができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は最終年度にあたり、コンピテンシー案をデルファイ法による質問紙調査によってさらに精錬し、生殖看護にかかわる看護師のコンピテンシーモデルを提案することを目標とする。 平成29年度着手が遅れていた質問紙調査を夏に分析ができるようにする。そのためには、早々に研究倫理委員会に申請し、調査に着手すること、今後の研究遂行がスムーズに行えるよう、研究分担者、連携研究者、研究協力者と連絡を密に取って進める。また、調査の準備やデータ入力なども計画的に進められるように必要時業者に委託する。 また、文献レビューの一部を日本母性衛生学会学術集会で発表すると共に学会誌にも投稿する。他のコンピテンシーモデル構築のプロセスにおいて得られた知見も発信できるように、関連学会学術集会での発表に向けて準備する。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)平成29年度に生殖看護実践者に対するフォーカスグループ・インタビューおよび生殖医療チームに対するインタビューの実施、質問紙調査の準備を計画していた。しかし、フォーカスグループ・インタビューおよびインタビューをしない計画に変更したものの調査の準備に時間を要したため、質問紙調査の準備まではたどり着かなかった。そのため、フォーカスグループ・インタビューやインタビューに必要なインタビュアーの交通費、研究協力者への謝礼品、テープ起こし代、質問紙調査に伴う書類や封筒等の印刷費、切手代、研究補助者への謝金、会議費等が使用できず、繰り越された予算がある。 (使用計画)平成30年度は、平成29年度の遅れを取り戻すべく、5月に計画書を検討し倫理委員会に申請、7月から質問紙調査を行い、その分析をもとに、コンピテンシーモデル構築ができるように、研究分担者および連携研究者と連携し計画的に遂行する。そのため、質問紙調査に伴う書類や封筒等の印刷費、切手代、データ入力等を依頼する研究補助者への謝金、研究協力者への謝礼品、会議費等で使用予定である。
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