研究実績の概要 |
【はじめに】新生児集中治療室(NICU)の音環境は、1970年代からの知見をもとに新生児の聴覚形成に与える影響を予防するための指針がある。環境音対策として、近年、個室を採用し環境整備を行っている報告もあるが、多くのNICUは開放型ユニットであること、音源は多様な要因から構成されるため環境音対策は容易ではない。可能な方法の一つとして、環境音を可視化することが対策につながると考える。そのため、本研究は環境音の可視化による音環境調整について明らかにすることを目的とする。 【研究方法】調査施設は、1,100床を有する総合病院の総合周産期母子医療センターのNICUである。調査内容は最大音圧と音質を測定した。第1回測定結果を施設に報告後、施設にて環境音調整を行い、約2か月後に第2回測定を行った。第3回測定は、測定機器による相違を検討した。測定器機は、第1回測定と第2回測定はマイクロミニ音型センサー(AMI社)を用いて3日間、第3回測定はサウンドメーターLA-3560(Ono Sokki, )とマイクロミニ音型センサーを用いて約15時間、および第1回測定に音質調査を30分間加えた。 【結果・考察】第1回測定の昼間は、やや強い音圧があり環境音推奨基準を上回った。その結果を施設に報告後、施設で調査結果を共有し最大音圧の発生源に対する取り組みを行った。第2回の最大音圧は、第1回測定値より低減していた。これらから、環境音を可視化することは環境音対策につながる可能性が示唆された。第3回測定の結果、等価音圧、時間率音圧、最大音圧は推奨基準値をやや上回り、マイクロミニ音型センサーの昼間の最大音圧は夜間より強い音圧であった。これらから、最大音圧を低減する方法をさらに検討する必要はあるが、警報音を音圧に頼る限界があるため、今後の課題として電波に切り替える等の検討が必要と思われる。
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